2026年8月29日

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AAAAレコードの追加ガイド|どの名前に足すかの判断と、テスト用の名前から段階的に広げる手順

AAAAレコードは、ホスト名にIPv6アドレスを結びつけるDNSレコードです。追加の操作自体はDNS管理画面で1行足すだけですが、追加した瞬間からIPv6を使える利用者はそのアドレスへ接続しに来るため、サーバー側の準備が整っていないと「一部の人だけサイトが開かない」状態になります。この記事では、どのホスト名にAAAAを追加するかの判断、テスト用の名前で試してから本番の名前へ広げる段取り、追加後にWordPress側で見直す設定を順に説明します。

サーバーのIPv6設定(アドレス・待ち受け・ファイアウォール)を一から整える手順は別の記事で扱っているため、ここでは「AAAAをどこに、どの順番で足すか」に重点を置きます。

追加する前に決めること

どのホスト名に追加するか

ドメインには、用途の違う複数のホスト名がぶら下がっていることがよくあります。まずゾーンの一覧を出し、それぞれについて「IPv6で公開する準備ができているか」を判断します。

  • **www とドメインの頂点(example.com)**: WordPressサイトの本体です。両方を同じサーバーで受けているなら、両方にAAAAを追加するのが基本です。片方だけにすると、リダイレクトの途中でIPv4に戻るなど、確認しにくい動きになります。
  • メールサーバーのホスト名(MXが指す名前): AAAAを追加すると、送信側のメールサーバーがIPv6で配送しに来るようになります。IPv6での受信設定、逆引き(PTR)、SPFレコードへの ip6: の追記などの準備が別途必要になるため、Webとは分けて最後に検討します。
  • ステージングや管理用のサブドメイン: 本番と別のサーバーで動いていることが多く、そのサーバーがIPv6に対応しているとは限りません。対応していないサーバーの名前にはAAAAを追加しません。
  • CNAMEになっている名前: CDNや外部サービスへCNAMEで向けている名前には、AAAAを追加できません。CNAMEは同じ名前にほかのレコードを置けない決まりがあるためです。IPv6対応はCNAME先のサービス側で行われます。

CDNやプロキシを通しているか

Cloudflare のプロキシ(オレンジの雲の状態)を使っている場合、訪問者が接続するのはCloudflareのアドレスで、IPv6での受け付けもCloudflare側が行います。この場合、オリジンサーバーがIPv6に対応していなくても、訪問者側はIPv6で接続できます。オリジンにIPv6を追加したいときだけ、オリジン用のAAAAを検討します。IPv6関連の設定項目の名前や既定値はプランや時期によって異なるため、Cloudflare のドキュメントで確認してください(2026年10月現在)。

レンタルサーバーの場合は、サーバー会社がIPv6に対応しているか、AAAAに入れるべきアドレスを案内しているかを先に確認します。対応していないサーバーで、自分でIPv6アドレスを用意してAAAAに書いても接続はできません。

サーバー側の準備ができているか

AAAAを追加する前に、最低限次の3点がそろっていることを確認します。

  • サーバーにグローバルIPv6アドレスが割り当てられ、外部と通信できる
  • Webサーバー(Nginx や Apache)がIPv6でも80番・443番を待ち受けている
  • ファイアウォールのIPv6側のルールで80番・443番が開いている

IPv4用のファイアウォールだけを設定していて、IPv6側が閉じたまま、あるいは逆に全開になっている例はよく見られます。両方のルールを見比べておきます。

追加の手順

手順1: TTLを短めにして、テスト用の名前で試す

いきなり www に追加せず、まず v6test.example.com のようなテスト用の名前にAAAAを追加します。問題があっても利用者には影響せず、DNS・サーバー・証明書の組み合わせを先に確かめられます。TTLは300秒程度の短い値にしておくと、値を直したときにすぐ反映されます。

DNS管理画面では、多くの場合「タイプ」「名前(ホスト)」「値」「TTL」の欄に入力します。ゾーンファイルを直接編集する場合は次のように書きます。

; 2001:db8:: で始まる値は説明用のアドレス。実際のサーバーのIPv6アドレスに置き換える
v6test  300  IN  AAAA  2001:db8:10::25

IPv6アドレスの書き方で間違えやすい点は次のとおりです。

  • ::(0の連続の省略)は1つのアドレスの中で1回しか使えない
  • /64 のようなプレフィックス長や、URLで使う [ ] の角かっこは値に含めない
  • fe80: で始まるリンクローカルアドレスや、fd で始まるローカル用のアドレスはインターネットからは届かない
  • サーバー管理画面に表示された「IPv6のネットワーク」ではなく、サーバー自身に割り当てられたアドレスを使う

テスト用の名前でHTTPSを確認するには、その名前を含む証明書が必要です。Let's Encrypt などで一時的に証明書を取るか、次の手順2のように curl の --resolve で本番の名前を使って試します。

手順2: テスト用の名前で確認する

権威DNSに直接尋ねて、登録した値が返るかを確認します。

# ns1.your-dns.example は、そのドメインのネームサーバー名に置き換える
dig @ns1.your-dns.example v6test.example.com AAAA +norec +short

次に、IPv6が使える端末やサーバーから、IPv6に限定して接続します。

# IPv6に限定して接続する
curl -6 -sS -o /dev/null -w "%{http_code} %{remote_ip}\n" http://v6test.example.com/

# DNSを変えずに、本番の名前をIPv6アドレスに当てて HTTPS を確認する
curl -sS -o /dev/null -w "%{http_code} %{remote_ip}\n" \
  --resolve "www.example.com:443:[2001:db8:10::25]" https://www.example.com/

ステータスコードがIPv4で接続したときと同じで、remote_ip に追加したIPv6アドレスが表示されれば、サーバー側は準備できています。接続がタイムアウトする場合はファイアウォール、接続を拒否される場合はWebサーバーの待ち受け、証明書のエラーが出る場合はIPv6側のバーチャルホスト設定を疑います。

手順3: 本番の名前に追加する

テストで問題がなければ、www と頂点の名前にAAAAを追加します。TTLは数日間は短めのままにしておき、問題が出たらすぐにAAAAを削除して戻せるようにしておきます。安定したことを確認してから、TTLを通常の値(3600秒など)に戻します。

テスト用の v6test のレコードは、確認が終わったら削除しておきます。使われない名前が残ると、後で管理する人が判断に迷います。

追加後にWordPress側で見直すところ

AAAAを追加すると、訪問者のIPアドレスとしてIPv6アドレスが記録されるようになります。また、サーバー自身が自分のサイトへ接続するときにもIPv6が使われる場合があります。次の点を確認しておきます。

IPアドレスによるアクセス制限

.htaccess やNginxの設定で、管理画面(wp-admin や wp-login.php)へのアクセスを特定のIPアドレスに限定している場合、IPv4のアドレスしか書いていないと、IPv6で接続してきた管理者が締め出されます。自分の回線のIPv6アドレスも許可に加えるか、許可の範囲を見直します。万一締め出された場合に備え、FTPやSSHで設定ファイルを戻せる経路を確保してから作業します。

セキュリティプラグインのログとブロック

ログイン試行の制限やブロックの機能を持つセキュリティプラグインは、IPv6アドレスでも記録・ブロックを行います。ただしIPv6では1つの回線に広いアドレスの範囲が割り当てられることが多く、アドレスを1つずつブロックしても効果が薄い場合があります。プラグインの設定で範囲単位の扱いがあるかを確認しておきます。

サーバー自身からの接続(ループバックリクエストとWP-Cron)

WordPressは、サイトヘルスのループバックリクエストの確認や、WP-Cronの起動のために、サーバー自身から自分のサイトのURLへ接続します。サーバーにIPv6の経路があり、自サイトの名前にAAAAが追加されると、この接続にIPv6が使われることがあります。Webサーバーが自分のIPv6アドレスで正しく応答しないと、サイトヘルスに「ループバックリクエストが失敗した」と表示されたり、予約投稿が遅れたりする原因になります。追加後に「ツール」→「サイトヘルス」を開き、エラーが出ていないかを確認します。

アクセス解析とリバースプロキシ

リバースプロキシやロードバランサーの後ろでWordPressを動かしている場合、訪問者のIPアドレスは X-Forwarded-For などのヘッダーで渡されます。プロキシがIPv6で受けた接続のアドレスを正しく渡しているか、ログで確認しておきます。

うまくいかないときの戻し方

IPv6だけで不具合が出る場合は、まず本番の名前のAAAAを削除します。TTLを短くしてあれば、数分程度でほとんどの利用者がIPv4だけで接続するようになります。多くのブラウザは、IPv6とIPv4を並行して試し、早くつながった方を使う仕組み(Happy Eyeballs)を持っていますが、IPv6側の問題が見えにくくなるだけで解消されるわけではありません。原因を直してから、テスト用の名前で再度確認し、本番の名前に戻します。

まとめ

  • AAAAは「追加した瞬間からIPv6の利用者が接続しに来る」レコードなので、サーバーの準備を先に整えます。
  • 追加する名前は、www と頂点を基本に、メール用・ステージング用・CNAMEの名前は個別に判断します。
  • テスト用の名前とTTLの短い設定で試してから、本番の名前へ広げると、影響を出さずに問題を見つけられます。
  • 追加後は、IPアドレスによる管理画面の制限、セキュリティプラグイン、サイトヘルスのループバックリクエストを確認します。
  • 問題が出たら本番のAAAAを削除して戻し、原因を直してから再度追加します。

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