2026年6月4日
2026年6月4日
.dev と .shop の違い|運営元・HTTPS 必須かどうか・名前の意味で比べる選び方
.dev と .shop はどちらも誰でも登録できる gTLD ですが、仕組みの上で大きな違いが一つあります。.dev は TLD 全体が HTTPS 必須(HSTS プリロード済み)で、.shop にはその制約がありません。名前の意味も、.dev は開発者向け、.shop はお店・ネットショップ向けとはっきり分かれます。この記事では、運営元や登録の条件、HTTPS の扱い、利用者への伝わり方を比べ、WordPress や WooCommerce のサイトでどちらを選ぶかの考え方をまとめます。
なお、.dev を実際に運用するときの証明書の準備やローカル開発環境の注意点は別の記事で扱っているため、ここでは2つの TLD の比較に絞ります。
基本情報の比較
以下は IANA のルートゾーンデータベースなどの公開情報をもとにした整理です。レジストリの規約や扱うレジストラは変わることがあるため、申し込み前に最新の条件を確認してください(2026年10月現在)。
| 観点 | .dev | .shop |
|---|---|---|
| 運営元(レジストリ) | Charleston Road Registry(Google の子会社) | GMO Registry(日本の会社) |
| 一般登録の開始 | 2019年 | 2016年 |
| 登録者の条件 | 国籍・業種の制限なし | 国籍・業種の制限なし |
| HTTPS | TLD 全体が HSTS プリロード済み | サイトごとの設定に任される |
| 連想される意味 | 開発者、ソフトウェア、技術 | 店舗、ネットショップ、物販 |
どちらも ICANN の新 gTLD プログラムで追加された TLD で、登録直後の移管制限や登録者情報の扱いなど、gTLD 共通のルールで管理されます。
いちばん大きな違い:HTTPS が強制されるかどうか
.dev は最初から HTTPS でしか開けない
ブラウザーには「最初から HTTPS で開くドメイン」の一覧(HSTS プリロードリスト)が組み込まれています。.dev は TLD ごとこの一覧に入っているため、example.dev もそのサブドメインも、主要なブラウザーは HTTP で開きません。証明書がない、または期限が切れていると、利用者はサイトを開けず、警告を無視して進むこともできません。サイト側の設定でこの扱いを外すこともできません。
そのため .dev では、DNS をサーバーに向けてから証明書を発行し、HTTPS で開けることを確かめてから公開する、という順番が前提になります。ステージング用の staging.example.dev なども同じ扱いなので、サブドメインを作るたびに証明書が要ります。
.shop は自分で HTTPS 化を決める
.shop には TLD 全体の強制はありません。ただし、ネットショップでは個人情報や決済を扱うため、HTTPS での運用は事実上欠かせません。WooCommerce のサイトなら、証明書を入れてサイトのアドレスを https:// にし、HTTP からのアクセスを 301 で転送するのが基本です。
.shop でも、サーバーから HSTS のヘッダーを送れば、一度訪れたブラウザーに HTTPS を強制させられます。始めるときは max-age を短くして様子を見て、すべてのサブドメインで HTTPS が動くと確かめてから長くします。
# 最初は短い期間(ここでは300秒)で試し、問題がなければ延ばす
add_header Strict-Transport-Security "max-age=300" always;
HSTS を長い期間で有効にした後や、プリロードリストに申請した後は、取り消しても利用者のブラウザーに反映されるまで時間がかかります。.dev のように最初から強制される TLD と違い、.shop では自分で段階を踏める反面、設定の責任もサイト側にあります。
名前の意味と利用者の受け止め方
TLD はアドレスの末尾に常に表示されるので、訪問者がそこから受け取る印象を考えます。
- .dev が合うサイト:技術ブログ、OSS のドキュメント、開発ツールや API の案内、開発者向けのイベントページ。開発者には意味がすぐ伝わります。
- .shop が合うサイト:WooCommerce などで作るネットショップ、ブランドの直販サイト、実店舗の通販ページ。アドレスを見ただけで買い物ができるサイトだと分かります。
- 合いにくい組み合わせ:一般消費者向けのお店に .dev、技術情報の発信が中心のサイトに .shop。どちらも内容と名前がずれて、訪問者が戸惑います。
.shop は日本のレジストリが運営していることもあり、国内のレジストラで扱いが多く、日本語の名前(日本語ドメイン)にも対応していると案内されています。日本語の名前を使いたい場合は、レジストラの検索画面で扱いを確かめてください。
検索とメールでの扱いは同じ
Google 検索セントラルの説明では、新 gTLD はほかの gTLD と同じように扱われ、TLD に含まれる単語が順位で有利に働くことはありません。.shop だから買い物の検索で上がる、.dev だから技術の検索で上がる、ということはありません。どちらも特定の国に結びつかないため、日本向けであることは日本語のコンテンツや lang 属性で伝えます。
HSTS プリロードはブラウザーの仕組みなので、メールには影響しません。どちらを選んでも、注文確認や問い合わせの通知を送るなら SPF・DKIM・DMARC を設定し、主なメールサービス宛てに届くかを試します。
両方を使い分ける場合
ネットショップを運営しながら、外部の開発者向けに商品データの API を公開している、というような事業では、両方を使い分ける方法もあります。
- お客さま向けのショップ:example.shop
- 開発者向けのドキュメントや API:example.dev
このとき、2つのドメインで同じ内容を表示しないようにし、それぞれの役割をはっきりさせます。ブランドを守る目的だけで片方を取るなら、使わないほうはメインのサイトへ 301 で転送します。.dev を転送用にする場合でも、転送元で HTTPS の応答が要るため、証明書の更新を止めないようにします。
選ぶ前の確認点
- サイトの主な訪問者は開発者か、一般の買い物客か
- 公開前に証明書を用意し、自動更新を運用できるか(.dev では欠かせません)
- 更新料はいくらか。初年度の割引ではなく、2年目以降の価格で比べたか
- 取りたい名前がプレミアム価格になっていないか
- 同じ名前の .com や .jp が他者に使われていないか、商標に問題はないか
WordPress のサイトはドメインを後から変えると、データベースの URL の置き換えや 301 転送、Search Console の設定し直しが必要になります。作業する場合は事前にバックアップを取り、ステージング環境で試してから本番で行います。
まとめ
- .dev は Google 系、.shop は GMO 系のレジストリが運営する gTLD で、どちらも登録者の条件はありません。
- .dev は TLD 全体が HSTS プリロード済みで、サブドメインも含めて HTTPS でしか開けません。.shop は HTTPS 化や HSTS をサイト側で決めます。
- .dev は開発者向け、.shop はネットショップ向けと、伝わる意味がはっきり分かれます。
- 検索順位とメールの扱いに TLD による差はありません。
- 事業によっては、ショップを .shop、開発者向けを .dev と役割で分ける方法もあります。