2026年5月24日
2026年5月24日
期限切れドメインの復活(リデンプション)手順|今どの段階かの確認から復旧後の点検まで
期限切れのドメインは、gTLD(.com や .net など)であれば、削除される前の「リデンプション期間」中にレジストラへ復旧(リストア)を申し込むことで取り戻せます。通常の更新より高い手数料がかかり、できる期間も限られているため、最初にやるべきことは「いまどの段階にいるか」を正確に知ることです。この記事では、段階の見分け方、リデンプションからの復旧手順、復旧後に必要な設定の戻し方、間に合わなかった場合の選択肢を説明します。期限切れ直後の症状や再発防止については、別の記事で扱っています。
期限切れから削除までの流れ
gTLD の多くは、ICANN の方針とレジストリの仕組みにより、おおむね次の順に進みます。期間は目安で、レジストラやレジストリによって異なります。
- 有効期限: 更新されないまま期限を迎えます。
- 期限切れ後の猶予期間: レジストラの方針により、多くの場合はサイトやメールが止まった状態で、元の登録者が通常の更新(追加料金がかかることもある)で戻せます。ICANN の方針では、期限切れ後も一定期間は元の登録者が更新できるようにすることがレジストラに求められています。
- リデンプション期間: レジストラがドメインを削除処理するとこの段階に入り、ステータスが
redemptionPeriodになります。期間は通常30日で、この間は元の登録者だけが復旧を申し込めます。 - 削除待ち: ステータスが
pendingDeleteになり、約5日後にレジストリから削除されます。この段階では一般に復旧できません。 - 開放: 誰でも新しく登録できる状態に戻ります。
猶予期間の途中で、レジストラが期限切れドメインをオークションに出す場合もあります。その扱いは各社の規約で決まっているため、契約中のレジストラの規約を確認してください(2026年10月現在)。
.jp などの ccTLD は、この流れとは別の独自ルールで運用されています。リデンプション期間がない、期間や手続きが異なる、といった違いがあるため、ccTLD の場合はレジストラと各国のレジストリの案内に従ってください。
1. いまどの段階かを確認する
まずステータスを確認します。管理画面の表示に加えて、第三者から見える情報も見ておくと、表示の食い違いに気付けます。
# ステータスと日付を確認
whois example.com | grep -iE 'Status|Expir|Updated|Registrar:'
# RDAP(gTLD)でステータスとイベントを確認
curl -sL https://rdap.org/domain/example.com | jq '{status, events}'
結果ごとの対応は次のとおりです。
- **
clientHoldやautoRenewPeriodがあり、redemptionPeriodがない**: まだ猶予期間内の可能性が高く、通常の更新で戻せることが多い段階です。レジストラの管理画面で更新を試します。 - **
redemptionPeriodがある**: 復旧の手続きが必要です。この記事の手順2へ進みます。 - **
pendingDeleteがある**: 復旧はほぼできません。削除後の再登録を狙うことになります(後述)。 - whois で「該当なし」(No match など)になる: すでに削除され、登録可能な状態です。すぐに新規登録を試します。
- 登録者やレジストラが自分の知らないものに変わっている: 第三者に取得された可能性があります。後述の選択肢を検討します。
2. レジストラに復旧を申し込む
リデンプション期間中の復旧は、ドメインを管理していた元のレジストラを通じてしか申し込めません。この期間はほかのレジストラへの移管もできないため、「別の会社で取り直す」ことはできない点に注意します。
管理画面に復旧の操作がある場合は、そこから申し込みます。項目名は「復旧」「リデンプション」「リストア」などレジストラによって違い、管理画面には表示されずサポートへの依頼が必要なレジストラもあります。期間が限られているので、操作が見つからなければすぐ問い合わせます。
申し込みの前に確認しておきたい点は次のとおりです。
- 費用: 復旧手数料に加えて、更新料金が別にかかることが一般的です。通常の更新よりかなり高額になるため、見積もりを確認してから申し込みます。
- 本人確認: 登録者本人であることを確認されます。登録時のメールアドレスが使えない場合は、契約者情報や請求書などで確認できるか相談します。
- アカウントの状態: 支払い方法の期限切れや未払いがあると手続きが止まることがあります。先に解消しておきます。
レジストラが申し込みを受けると、レジストリ側でステータスが pendingRestore に変わり、手続きが完了すると通常の状態に戻ります。完了まで数日かかることもあり、その間に期限を迎えないよう、リデンプション期間の終わりが近い場合はとくに早めに動きます。
3. 復旧後に設定を元に戻す
ドメインが戻っても、期限切れや削除処理の過程で設定が変わっていることがあります。サイトとメールを再開する前に、次を順に確認します。
ネームサーバー
レジストラが期限切れの際に駐車用のネームサーバーへ切り替えていると、復旧後もそのままのことがあります。
dig example.com NS +short
もともと使っていた DNS サービスのネームサーバーと違えば、管理画面で設定し直します。TLD 側の NS の TTL のため、反映には時間がかかることがあります。
DNS レコード
レジストラの DNS サービスを使っていた場合、削除処理でゾーンのレコードが消えていることがあります。A・CNAME・MX・TXT(SPF、DKIM、DMARC、各種サービスの認証)を、控えやバックアップから戻します。日ごろからゾーンの内容をエクスポートして保管しておくと、この作業が楽になります。
DNSSEC
DNSSEC を使っていた場合は、レジストラに登録していた DS レコードが消えている、または DNS 事業者側の鍵と合わなくなっていることがあります。DS と DNSKEY が一致しないと、検証するリゾルバーからドメインが引けなくなるため、dig example.com DS +short で確認し、必要なら DNS 事業者側の値で登録し直します。
SSL 証明書とメール
期限切れの間に SSL 証明書の自動更新が失敗していないか確認し、必要なら手動で更新します。メールは、停止期間中に届かなかったものが送信者に戻っている可能性があるため、重要な取引先には連絡します。
移管のタイミング
復旧の直後は、一定期間ほかのレジストラへ移管できない制限がかかることがあります。レジストラを変えたい場合は、制限の有無と期間を確認してから計画します。
間に合わなかった場合の選択肢
削除後に再登録を狙う
pendingDelete の段階で、削除後の開放を待って新規登録を試みます。人気のあるドメインは、開放直後に登録を試みるサービス(ドロップキャッチ、バックオーダー)を使う人と競合するため、取り戻せる保証はありません。こうしたサービスを使う場合も、成功するとは限らない前提で検討します。
第三者に取得された場合
取得した相手と交渉して譲渡を受ける方法があります。商標権を持っていて、相手が不正な目的で登録・使用していると考えられる場合は、gTLD なら UDRP、.jp なら JP-DRP という紛争処理の手続きを使える可能性があります。いずれも法的な判断を伴うため、弁護士など専門家に相談してください。
取り戻せない場合は、新しいドメインへの移行を進めます。旧ドメイン宛てのメールが第三者に届くおそれがあるため、各種サービスのログイン用メールアドレスを早急に変更し、取引先や利用者に新しい連絡先を知らせます。
まとめ
- gTLD の期限切れドメインは、猶予期間 → リデンプション期間(通常30日)→ 削除待ち(約5日)→ 開放、と進みます。ccTLD は独自のルールです。
- whois / RDAP のステータスで段階を確認し、
redemptionPeriodなら元のレジストラに復旧を申し込みます。この期間は移管できません。 - 復旧には通常の更新より高い費用がかかり、完了まで日数がかかることもあるため、期間の終わりが近いほど早く動きます。
- 復旧後はネームサーバー、DNS レコード、DNSSEC、SSL 証明書、メールを順に元に戻します。
- 間に合わなければ再登録を狙うか、商標がある場合は紛争処理手続きを検討し、取り戻せなければ移行と連絡先の変更を急ぎます。