2026年5月24日
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グレースピリオドとリデンプションの違い|ドメインの猶予期間の種類と、各期間でできること
グレースピリオド(猶予期間)は、登録・更新・期限切れなどの直後に設けられた「取り消しや通常の更新ができる期間」の総称で、リデンプション(リデンプション期間)は、ドメインが削除処理に入った後に元の登録者だけが高い手数料で復旧できる最後の期間です。どちらも「期限切れのドメインを戻せる期間」として混同されがちですが、戻すための手続き、費用、移管の可否が大きく違います。この記事では、gTLD(.com など)の猶予期間の種類を整理し、それぞれの期間で登録者に何ができるかを比べます。復旧の具体的な手順は別の記事で扱っているため、ここでは違いの理解に絞ります。
猶予期間は1種類ではない
gTLD のドメインは、レジストリとレジストラの間の EPP という仕組みで管理されており、その仕様(RFC 3915)で次のような期間が定められています。日数は .com などでよく使われる目安で、TLD ごとに異なる場合があります。
- 登録後の猶予期間(Add Grace Period): 新規登録から5日程度。この間にレジストラが登録を取り消すと、レジストリから料金が返る仕組みです。
- 更新後の猶予期間(Renew Grace Period): 明示的に更新してから5日程度。
- 自動更新後の猶予期間(Auto-Renew Grace Period): 有効期限を過ぎてから最大45日程度。
- 移管後の猶予期間(Transfer Grace Period): レジストラ移管の完了から5日程度。
- リデンプション期間(Redemption Grace Period): 削除処理の後、通常30日。
このうち、登録・更新・移管後の猶予期間は、主にレジストラとレジストリの間の精算に関わるもので、登録者が意識する場面はあまりありません。一般に「グレースピリオド」と言うときは、期限切れ後の猶予期間(自動更新後の猶予期間と、それに合わせたレジストラ側の猶予)を指すことがほとんどです。この記事でも、以降はこの意味で使います。
期限切れから削除までの位置関係
時間の流れで並べると、次のようになります。
- 有効期限: 更新されないまま期限を迎えます。.com などではレジストリが自動的に1年延長し、ステータスに
autoRenewPeriodが付くことがあります。 - グレースピリオド(期限切れ後の猶予期間): レジストラの方針で、サイトやメールが止まった状態になることが多いものの、元の登録者は通常の更新で戻せます。
- リデンプション期間: レジストラがドメインを削除処理すると、ステータスが
redemptionPeriodになります。 - 削除待ち: ステータスが
pendingDeleteになり、数日後に削除されます。この段階では一般に戻せません。 - 開放: 誰でも新しく登録できる状態になります。
注意したいのは、グレースピリオドの長さを決めるのは最終的にレジストラだという点です。レジストリ側の自動更新の猶予が45日程度あっても、レジストラが早めに削除処理をすれば、その時点でリデンプション期間に入ります。ICANN の期限切れ登録回復ポリシー(ERRP)は、期限切れ後も一定期間は元の登録者が更新できること、期限の前後に通知を送ることなどをレジストラに求めていますが、具体的な日数や、その間にオークションへ出すかどうかは各社の規約で決まります(2026年10月現在)。
2つの期間の違い
違いを項目ごとに比べます。
| 項目 | グレースピリオド | リデンプション期間 |
|---|---|---|
| ステータスの例 | autoRenewPeriod など(表示されない場合もある) |
redemptionPeriod |
| 戻す方法 | 通常の更新 | 復旧(リストア)の申し込み |
| 費用 | 通常の更新料(遅延の手数料が加わることもある) | 復旧手数料と更新料。通常の更新よりかなり高い |
| できる人 | 元の登録者 | 元の登録者が、元のレジストラを通じて |
| 他社への移管 | レジストラの方針によっては可能 | できない |
| サイト・メール | 止められていることが多い | 止まっている |
| 長さ | レジストラごとに異なる | 通常30日 |
戻す手続きの違い
グレースピリオド中は、ドメインはまだ削除されていないため、管理画面で更新するだけで元に戻ります。止まっていたサイトやメールは、更新後にレジストラが設定を戻すと再開します。
リデンプション期間中は、ドメインがいったん削除処理されているため、レジストリへの復旧の申請が必要です。レジストラが申請を出すとステータスが pendingRestore に変わり、手続きが終わると通常の状態に戻ります。管理画面に復旧の操作がなく、サポートへの依頼が必要なレジストラもあります。
移管できるかどうか
グレースピリオド中に別のレジストラへ移すことは、仕組みの上では可能な場合があります。ただし、期限切れのドメインの移管を受け付けない、あるいは移管に必要な認証コードを発行しない、といった方針のレジストラもあるため、移管元と移管先の両方に確認が要ります。
リデンプション期間中は移管できません。「安いレジストラで取り直す」ことはできず、元のレジストラで復旧するしかありません。
誰が取得できるか
どちらの期間も、第三者がそのドメインを新規登録することはできません。ただし、グレースピリオド中にレジストラがドメインをオークションに出し、落札されると元の登録者が戻せなくなる規約もあります。リデンプション期間を過ぎて削除されると、ドロップキャッチと呼ばれる、開放直後の登録を狙うサービスとの競争になります。
今どちらの期間かを確かめる
期間の判断は、管理画面の表示だけでなく、レジストリの情報でも確認します。
# whois でステータスと日付を確認する
whois example.com | grep -iE 'Status|Expir|Updated'
# RDAP でステータスと日付の履歴を確認する
curl -sL https://rdap.org/domain/example.com | jq '{status, events}'
redemptionPeriod や pendingRestore があればリデンプション期間(またはその復旧中)、pendingDelete があれば削除待ちです。これらがなく、有効期限が過ぎているだけなら、グレースピリオド内の可能性が高いと判断できます。判断に迷う場合や、期限が迫っている場合は、すぐにレジストラへ問い合わせます。
.jp などの ccTLD は別のルール
ここまでの説明は gTLD の仕組みです。.jp などの ccTLD は、各国のレジストリが独自のルールで運用しており、リデンプション期間がない、期限切れ後の扱いや期間が違う、といった違いがあります。.jp は JPRS の規則と、契約しているレジストラ(指定事業者)の案内に従います。ccTLD では「gTLD と同じように後から戻せる」と考えず、期限前の更新を前提に管理します。
期間に頼らない管理のしかた
猶予期間は、あくまで更新を忘れた場合の救済です。期間中もサイトやメールが止まることが多く、リデンプションでは費用も大きくなります。次の対策で、そもそも期限切れにしないことが大切です。
- 自動更新を有効にし、登録している支払い手段の有効期限を確認する
- レジストラからの通知を受け取るメールアドレスを、そのドメイン以外のアドレスにする
- 有効期限を一覧で管理し、期限の1〜2か月前に担当者が確認する
まとめ
- 猶予期間には登録後・更新後・自動更新後・移管後などの種類があり、登録者に関わるのは主に期限切れ後のグレースピリオドです。
- グレースピリオドは通常の更新で戻せる期間、リデンプション期間は削除処理後に元のレジストラでの復旧だけが可能な期間です。
- リデンプションは費用が高く、移管もできません。グレースピリオドの長さやオークションの扱いはレジストラの規約で決まります。
- whois / RDAP の
redemptionPeriod・pendingDeleteなどのステータスで、いまどの期間かを確認します。 - .jp などの ccTLD は別のルールです。猶予期間に頼らず、自動更新と期限の管理で期限切れを防ぎます。