2026年7月7日
2026年7月7日
Sunrise登録の申立手順|TMCHへの商標登録から優先登録の申請、異議申立てまで
Sunrise 登録は、新しい gTLD(.shop や .app のように後から追加されたトップレベルドメイン)の一般受付が始まる前に、商標権者が自分の商標と同じ文字列のドメインを優先して登録できる仕組みです。申し込むには、事前に TMCH(Trademark Clearinghouse)へ商標を登録して SMD ファイルを受け取り、Sunrise に対応したレジストラから申請します。この記事では、TMCH への登録から Sunrise での申請、他人の Sunrise 登録に異議を申し立てる手続きまでを順に説明します。
Sunrise と TMCH の関係
ICANN は新 gTLD の導入にあたり、商標権者を守るための仕組み(Rights Protection Mechanisms)をレジストリに求めています。その中心が次の2つです。
- Sunrise 期間: 一般受付の前に設けられる、商標権者向けの優先登録期間です。ICANN の要件では、最低30日間の Sunrise を設けることになっています。
- Trademark Claims(商標クレーム通知): 一般受付の開始後の一定期間、TMCH に登録された商標と一致するドメインを誰かが申し込むと、申込者に警告が表示され、登録されると商標権者に通知が届く仕組みです。
どちらも、TMCH に商標が登録されていることが前提です。TMCH は ICANN の仕組みとして運営される商標情報のデータベースで、登録された商標が要件を満たしているかを検証し、その結果を各レジストリが参照します。Sunrise を使うには、TMCH への登録に加えて、商標を実際に使っていることの証明も求められます。
手順1:対象になる商標か確認する
TMCH に登録できるのは、おおむね次のような商標です。
- 国や地域の制度で登録された文字商標(日本の特許庁で登録された商標を含む)
- 裁判所で有効性が認められた商標
- 法令や条約で保護されている標章
出願中の商標は対象になりません。図形だけの商標は登録できず、図形と文字を組み合わせた商標は、文字部分がはっきり読み取れるかなどの条件で扱いが分かれます。日本の商標を登録する場合は、J-PlatPat で登録番号、権利者名、指定商品・役務、登録日を確認し、申請に記載する内容と食い違いが無いようにしておきます。権利者名の表記が登録原簿と違うと、検証で差し戻されることがあります。
手順2:TMCH に商標を登録する
TMCH への登録は、商標権者が自分で行う方法と、TMCH の手続きに対応した代理人(商標事務所や一部のレジストラなど)に依頼する方法があります。大まかな流れは次のとおりです。
- TMCH のアカウントを作成するか、代理人に依頼します。
- 商標の情報(文字、登録番号、権利者、管轄国、登録日など)を入力し、登録証などの資料を添付します。
- Sunrise を使う場合は、使用の宣誓と使用を示す見本(商品やパッケージ、Web サイトの画面など)を提出します。
- 検証で不備を指摘されたら、期限内に修正して再提出します。
- 検証が終わると、Sunrise の申請に使う SMD ファイル(Signed Mark Data)が発行されます。
登録期間は複数年から選べ、期限前に更新が必要です。期限が切れると Sunrise にも Trademark Claims にも使えなくなるため、更新の担当者を決めておきます。料金や画面の構成は変更されることがあるので、TMCH の公式サイトで最新の案内を確認してください(2026年10月現在)。
ドメインとして使える文字列(ラベル)に注意する
商標の文字列は、そのままドメインに使えるとは限りません。スペースや記号を含む商標は、TMCH の規則に従ってドメインに使える文字列に変換されます。たとえばスペースは削除するかハイフンに置き換えるなど、複数の候補が作られます。自社がどの文字列で Sunrise を申請できるのか、検証が終わった段階で一覧を確認しておきます。
手順3:TLD の開始時期を把握する
Sunrise の期間はTLDごとに決まっており、レジストリが事前に告知します。ICANN は新 gTLD の次回募集の手続きを進めていますが、申請から審査、契約、運用開始までには時間が掛かり、Sunrise がいつ始まるかはTLDごとに異なります。気になるTLDについては、ICANN の公開情報やレジストリの告知、利用しているレジストラからの案内を定期的に確認します。
Sunrise には、期間の終わりにまとめて割り当てる方式と、申し込み順に割り当てる方式があります。前者では期間内のどの時点で申し込んでも扱いは同じですが、後者では早く申し込んだほうが有利です。どちらの方式かはレジストリの告知で確認します。
手順4:Sunrise 対応のレジストラから申請する
Sunrise の申請は、そのTLDの Sunrise に対応しているレジストラを通して行います。すべてのレジストラが、すべてのTLDの Sunrise を扱っているわけではありません。
- レジストラで、対象のTLDと文字列を指定して Sunrise の申請画面を開きます。
- TMCH から受け取った SMD ファイルをアップロードするか、内容を貼り付けます。
- 登録者情報を入力します。登録者は、原則として TMCH に登録した商標権者と一致させます。
- 申請を確定し、結果の通知を待ちます。
同じ文字列に複数の商標権者が Sunrise を申請した場合、どう割り当てるかはレジストリの規則によって異なり、オークションなどの方法が使われることがあります。また、レジストリが予約している文字列や、高額な特別料金の対象になる文字列は、Sunrise でも思うように登録できない場合があります。
登録できたら、移管ロックや自動更新など、通常のドメインと同じ保護設定を行います。
他人の Sunrise 登録に異議を申し立てる
自社の商標と関係のない第三者や、要件を満たさない商標を使った人が Sunrise で登録した場合、レジストリが定める Sunrise の紛争処理方針(SDRP: Sunrise Dispute Resolution Policy)で異議を申し立てられます。申し立ての理由として認められるのは、主に次のような点です。
- 登録者が、登録の時点で要件を満たす商標を持っていなかった
- ドメインの文字列が、商標と一致していない
- 商標が、国や地域の効力を持つ登録ではなかった
- 商標の登録日などが、レジストリが Sunrise の条件として定めた基準を満たしていなかった
SDRP の手続きや受付窓口、申立ての期限はレジストリごとに異なります。レジストリ自身が受け付ける場合もあれば、外部の紛争処理機関を指定している場合もあります。異議を検討するときは、まず対象TLDのレジストリが公開している Sunrise の規約を読み、期限内に必要な書面を準備します。
Sunrise とは関係なく、一般受付以降に登録されたドメインが商標を不正に使っている場合は、UDRP や URS(迅速な停止のための手続き)など別の制度の対象になります。TMCH に登録された商標そのものの正当性に疑問がある場合は、TMCH 側の異議手続きを使う方法もあります。
申し込む前に考えておきたいこと
新しい gTLD は数が多く、すべてで Sunrise 登録するのは現実的ではありません。自社の事業に関係するTLD(業種名や地域名のTLDなど)や、なりすましに使われると被害が大きいTLDに絞るのが一般的です。TMCH の登録は Trademark Claims の通知を受け取るためにも役立つため、Sunrise で登録しないTLDでも、第三者の登録に気付く手段になります。
まとめ
- Sunrise 登録は、新 gTLD の一般受付前に商標権者が優先して登録できる仕組みで、TMCH への登録と使用の証明が前提です。
- TMCH の検証が終わると SMD ファイルが発行され、Sunrise 対応のレジストラから申請に使います。
- Sunrise の期間と割り当て方式はTLDごとに異なるため、レジストリの告知を確認します。
- 要件を満たさない Sunrise 登録には、レジストリの SDRP で異議を申し立てられます。手続きと期限はレジストリごとに異なります。
- 料金や画面、規則は変わることがあるため、TMCH とレジストリの最新の案内を確認します。