2026年6月5日
2026年6月5日
.tech ドメインを取得する手順|名前と価格帯の確認から登録、DNS・メール・WordPress の設定まで
.tech ドメインは登録条件のない gTLD なので、レジストラで空いている名前を選べば数分で取得できます。手間がかかるのは申し込みの前後で、短い名前に多い特別価格(プレミアム)の確認、取得直後の確認メールとアカウント保護、そして技術系のサイトで増えがちなサブドメインや外部サービスの DNS 設定です。この記事では、.tech を取得して WordPress サイトとメールを動かすところまでを、確認のコマンドとあわせて順に説明します。
.tech ドメインの前提
.tech は ICANN の新 gTLD プログラムで追加された TLD で、IANA のルートゾーンデータベースでは Radix Technologies が運営者(レジストリ)として登録されています。ルートゾーンへの登録は2015年です。国籍や業種による登録条件はなく、個人の技術ブログから IT 企業のサービスサイトまで使われています。
技術的な扱いは .com と同じです。.dev や .app のように TLD 全体で HTTPS が強制される仕組み(HSTS プリロード)は .tech にはありませんが、WordPress サイトは HTTPS で運用するのが前提です。検索順位の面でも、TLD に「tech」が入っているから技術系の検索で有利になる、ということはありません。運営者や登録の規約は変わることがあるため、申し込み時点の内容はレジストラの案内で確認してください(2026年10月現在)。
ステップ1:名前を決めて登録状況を調べる
候補の名前を3〜5個用意し、口頭で伝えても綴りを間違えにくいかを確かめます。技術系のサービスなら、GitHub の組織名や SNS のアカウント名、パッケージ名と揃えられるかも見ておくと、後で名前が食い違うのを防げます。
登録済みかどうかはレジストラの検索画面で分かります。ターミナルからは RDAP で確認できます。gTLD の登録情報の照会は WHOIS から RDAP へ移行しているため、whois で情報が出ない場合はこちらを使います。
# 登録されていれば status や有効期限が返り、未登録なら 404 などのエラーになる
curl -sL https://rdap.org/domain/example.tech | python3 -m json.tool | head -40
あわせて、同じ文字列の商標がないかを特許庁の J-PlatPat などで調べます。他社のサービス名に似た名前は、紛争処理手続きの対象になることがあります。
ステップ2:価格帯と更新料を確かめる
.tech では、短い単語や人気のある語がプレミアムドメインとして通常とは別の価格に設定されていることがあります。Radix が運営する TLD では、プレミアムの名前は登録時だけでなく更新時も高い価格が続く場合があるため、検索結果に「プレミアム」などの表示が出たら、更新料まで確認してから申し込みます。
通常の名前でも、初年度だけ割引されて2年目以降に通常の更新料になることがよくあります。比べるときは「更新料 × 使う予定の年数」で見積もります。料金はレジストラごとに違うため、複数社で確認します。
ステップ3:レジストラを選んで申し込む
レジストラを選ぶときは、価格のほかに次の点を確かめます。
- DNS 管理画面で TXT・CAA・MX・CNAME などのレコードを自由に追加できるか
- DNSSEC に対応しているか
- アカウントに二要素認証を設定できるか
- 移管ロック(レジストラロック)を設定できるか
申し込みでは、登録者の氏名または組織名、住所、メールアドレスなどを正しく入力します。架空の情報で登録すると、後で利用停止になったり、移管や紛争のときに所有者であることを示せなくなったりします。個人で登録する場合は、登録者情報が公開されない設定(公開代行やプライバシー保護)になっているかも確かめます。
ステップ4:取得直後の確認メールとアカウント保護
gTLD では、登録後に登録者のメールアドレスへ情報確認のメールが届くことがあります。期限内にリンクを開いて確認を済ませないと、ドメインが一時的に使えなくなる場合があります。迷惑メールフォルダも確かめてください。連絡先のメールアドレスを、取得したばかりの .tech のアドレスにすると、メールが動く前は受け取れません。別のドメインのアドレスにしておきます。
確認が済んだら、すぐに次を設定します。
- 自動更新を有効にし、登録しているカードの有効期限を確かめる
- レジストラのアカウントに二要素認証を設定する
- 移管ロックを有効にする
登録直後は一定期間ほかのレジストラへ移管できないのが一般的です。レジストラを変えたい場合は、その期間が過ぎてから手続きします。
ステップ5:DNS を設計する
技術系のサイトでは、本体の WordPress のほかに、ドキュメント、ステータスページ、API などをサブドメインで分けることがよくあります。先に一覧を作っておくと、設定漏れや証明書の取り忘れを防げます。
| 名前 | 用途の例 | レコードの例 |
|---|---|---|
| example.tech | WordPress 本体 | A / AAAA |
| www.example.tech | 本体への転送用 | CNAME または A |
| docs.example.tech | 外部のドキュメントサービス | CNAME(サービスの案内に従う) |
| status.example.tech | 外部のステータスページ | CNAME(サービスの案内に従う) |
ドメインの頂点(example.tech そのもの)には、DNS の決まりで CNAME を置けません。外部サービスに頂点を向けたい場合は、DNS サービスが用意している CNAME フラットニングや ALIAS レコードを使うか、A レコードで指定します。
CAA と DNSSEC
証明書を発行できる認証局を CAA レコードで限定しておくと、意図しない認証局からの発行を防ぐ助けになります。外部サービスがそのサブドメインの証明書を別の認証局で発行する場合もあるため、各サービスの案内を確かめてから設定します。DNSSEC はレジストラと DNS サービスの両方が対応していれば有効にできます。
dig +short NS example.tech
dig +short A example.tech
dig +short CAA example.tech
dig +short DS example.tech # DNSSEC を有効にしていれば DS レコードが返る
ステップ6:メールの認証を設定する
問い合わせフォームの通知や会社のメールを .tech から送るなら、SPF・DKIM・DMARC を設定します。DMARC は最初に p=none でレポートを集め、自社の送信がすべて認証を通っていることを確かめてから強めます。
メールを使わない予備のドメインとして取った場合は、なりすましに使われないように「このドメインからは送信しない」と宣言しておきます。
example.tech. MX 0 .
example.tech. TXT "v=spf1 -all"
_dmarc.example.tech. TXT "v=DMARC1; p=reject"
MX 0 . は、このドメインではメールを受け取らないことを示す Null MX という書き方です。
ステップ7:WordPress を設定する
- サーバー側でドメインを追加し、A レコードの反映を
digで確かめます。 - DNS が反映されてから SSL 証明書を発行します。サーバーに向いていない状態では発行に失敗します。
https://example.techで開けることを確かめてから WordPress をインストールし、「設定」→「一般」のアドレスをhttps://の URL にします。
既存サイトのドメインを .tech に変える場合は、作業前にファイルとデータベースのバックアップを取り、ステージング環境で試してから本番で行います。URL の置き換えには WP-CLI の wp search-replace を --dry-run 付きで実行し、件数を確かめてから本番の置き換えに進みます。
まとめ
- .tech は Radix が運営する、登録条件のない gTLD です。技術的な扱いと検索での扱いは .com と同じです。
- 申し込み前に RDAP や検索画面で空きを調べ、プレミアム価格かどうかと更新料を確かめます。
- 取得直後は確認メールへの対応、自動更新、二要素認証、移管ロックを済ませます。
- サブドメインと外部サービスの一覧を作ってから DNS を設定し、CAA と DNSSEC も検討します。
- メールを使うなら SPF・DKIM・DMARC、使わないなら Null MX と
v=spf1 -allで送信しないことを示します。