2026年9月2日

2026年9月2日

VPSのホスト名の変更方法(hostnamectl・/etc/hosts・再起動で戻る問題まで)

VPSのホスト名は、hostnamectl set-hostname で変更し、/etc/hosts の記述をそろえれば基本的には完了です。ただしVPSでは、cloud-init や事業者の管理画面の設定によって、再起動後に元の名前に戻ってしまうことがあります。この記事では、Ubuntu / Debian と RHEL 系(AlmaLinux・Rocky Linux など)を例に、変更手順、再起動で戻る問題の対処、メールや監視など名前を参照しているサービスへの影響と確認方法を説明します。

ホスト名を変える前に知っておきたいこと

ホスト名とドメイン名・サイトのURLは別物

ホスト名はサーバー自身の名前で、シェルのプロンプトやログ、メールの送信元などに使われます。WordPress のサイトURL(設定画面の「WordPress アドレス」「サイトアドレス」)や、ドメインのDNS設定とは独立しています。ホスト名を変えてもサイトのURLは変わらず、逆にドメインを変えてもホスト名は自動では変わりません。サイトのURLを変えたい場合は、WordPress 側の設定とDNSの作業が別に必要です。

名前の付け方

ホスト名に使えるのは、英小文字・数字・ハイフンです。ハイフンで始めたり終わったりしない、ドットで区切った各部分は63文字以内、という規則があります。アンダースコアや日本語は使わないでください。

運用しやすいのは、役割と番号がわかる短い名前(web01 など)と、自分が管理するドメインを組み合わせた FQDN(web01.example.com)です。複数台を管理するなら、命名規則を先に決めておくと後で迷いません。

現在のホスト名を確認する

hostnamectl
hostname
hostname -f

hostnamectl の「Static hostname」が /etc/hostname に保存された名前、hostname -f が /etc/hosts などから解決した FQDN です。VPSでは、契約時に事業者が付けたIPアドレス由来の長い名前などが入っていることがよくあります。

ホスト名を変更する

systemd を使う現在の主要なディストリビューションでは、hostnamectl で変更します。

sudo hostnamectl set-hostname web01.example.com

短い名前(web01)と FQDN のどちらを設定するかは流儀が分かれます。Debian / Ubuntu では短い名前を設定して FQDN は /etc/hosts で解決する方法、RHEL 系では FQDN をそのまま設定する方法が多く案内されています。どちらでも動きますが、同じ環境の中では統一してください。

このコマンドは /etc/hostname を書き換え、実行中のシステムの名前もすぐに変えます。再起動は不要です。シェルのプロンプトは、ログインし直すと新しい名前で表示されます。

/etc/hostsをそろえる

ホスト名を変えたら、/etc/hosts にも新しい名前を書きます。ここを忘れると、sudo を実行するたびに「unable to resolve host」という警告が出たり、名前解決に時間がかかってコマンドの反応が遅くなったりします。

編集前にバックアップを取ります。

sudo cp /etc/hosts /etc/hosts.bak

Debian / Ubuntu では、慣例として 127.0.1.1 に自分の名前を書きます。

127.0.0.1   localhost
127.0.1.1   web01.example.com web01

::1         localhost ip6-localhost ip6-loopback

古いホスト名が書かれた行があれば、新しい名前に書き換えます。RHEL 系では 127.0.1.1 の慣例はないため、サーバーの固定IPに対して名前を書くか、127.0.0.1 の行に追記する形が一般的です。localhost の行そのものは消さないでください。

確認します。

hostname -f
getent hosts web01

hostname -f が意図した FQDN を返せば、/etc/hosts は正しく読めています。

再起動すると元の名前に戻る場合

VPSやクラウドのOSイメージには、多くの場合 cloud-init が入っています。cloud-init は起動時に、事業者側のメタデータに登録されたホスト名でサーバーの名前や /etc/hosts を設定し直すことがあります。そのため、手動で変えた名前が再起動後に戻るという現象が起きます。

まず、cloud-init が入っているか、どのような設定かを確認します。

cloud-init status
grep -rn -E "preserve_hostname|manage_etc_hosts" /etc/cloud/

手動で設定した名前を保ちたい場合は、/etc/cloud/cloud.cfg.d/ に設定ファイルを追加して preserve_hostname を有効にします。元の cloud.cfg はパッケージの更新で上書きされることがあるため、別ファイルにするのが無難です。

# /etc/cloud/cloud.cfg.d/99-preserve-hostname.cfg
preserve_hostname: true

/etc/hosts も cloud-init が管理している場合(manage_etc_hosts: true になっている場合)は、手で書いた内容が起動時に上書きされます。その場合は、テンプレート(/etc/cloud/templates/ 配下の hosts のテンプレート)を編集するか、manage_etc_hosts を無効にする方法があります。どちらを選ぶかは環境によるため、cloud-init のドキュメントと事業者の案内を確認してください。

事業者によっては、管理画面にホスト名やサーバー名の設定欄があり、そちらで変えることが推奨されている場合もあります。cloud-init の設定を触る前に、利用中の事業者のマニュアルを確認しておくと手戻りが減ります。管理画面の表記や対応は事業者ごとに異なり、変わることもあります(2026年10月現在)。

設定後は、一度再起動して名前が保たれているかを確認します。

sudo reboot
# 再接続後
hostnamectl

ホスト名を参照しているサービスへの影響

ホスト名を変えたあと、名前を設定に持っているサービスを見直します。

メール(Postfix など)

メールサーバーは、送信時の名乗り(HELO/EHLO)や送信元アドレスのドメインにホスト名を使うことがあります。Postfix では myhostname を明示していない場合、システムのホスト名から値が決まります。Debian / Ubuntu では /etc/mailname も参照されます。

postconf myhostname mydomain myorigin
cat /etc/mailname

WordPress からのお知らせメールなどをサーバーから直接送っている場合、名乗りの名前と、IPアドレスの逆引き(PTRレコード)、その名前の正引き(Aレコード)がそろっていないと、受信側で迷惑メール扱いされやすくなります。逆引きの設定は、多くの場合VPS事業者の管理画面で行います。設定を変えたら sudo systemctl reload postfix で反映します。

監視・ログ・バックアップ

  • 監視ツールのエージェント(Zabbix Agent など)は、設定ファイルのホスト名で監視サーバー側と照合していることがあります。名前を変えると「別のサーバー」として扱われるため、両側の設定をそろえます。
  • rsyslog などのログ転送では、ログに記録されるホスト名が変わります。集約先での検索条件やアラートの条件を更新します。
  • バックアップのファイル名や保存先にホスト名を使っているスクリプトがあれば、書き換えます。

ログに残る名前は、すでに起動しているサービスでは古いままのことがあります。影響が気になるサービスは再起動するか、サーバーごと再起動して確認すると早いです。

SSHの接続設定

手元のPCの ~/.ssh/config で古いホスト名を Host として使っている場合は、混乱を避けるために合わせて書き換えます。接続先(HostName)がIPアドレスやDNS名であれば、サーバーのホスト名を変えても接続自体には影響しません。

まとめ

  • ホスト名は hostnamectl set-hostname で変更し、/etc/hosts に新しい名前を書いて hostname -f で確認します。サイトのURLとは無関係です。
  • 再起動で戻る場合は cloud-init を疑い、/etc/cloud/cloud.cfg.d/ に preserve_hostname: true を追加します。/etc/hosts の管理や事業者の管理画面の設定もあわせて確認します。
  • メール(myhostname・逆引き)、監視エージェント、ログ転送、バックアップなど、名前を参照している設定を見直します。

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