2026年6月18日
2026年6月18日
WordPressのPageSpeed Insightsスコアを改善する手順|原因の切り分けから対策まで
PageSpeed Insights(PSI)のスコアを上げる近道は、思いついた高速化プラグインを入れることではなく、レポートで「どの指標が点を落としているか」を見て、原因に合った対策を順番に打つことです。この記事では、スコアの仕組みを押さえたうえで、WordPressで効果が出やすい対策を「サーバー応答」「LCP」「JavaScript」「CLS」の順に解説し、改善後の確かめ方までまとめます。
PageSpeed Insightsのスコアが表しているもの
PSIの画面には、性質の違う2種類のデータが並びます。
- 実際のユーザーのデータ(フィールドデータ): Chromeを使う実ユーザーの計測値を過去28日分集計したものです。LCP・INP・CLSの3つのCore Web Vitalsが合格かどうかは、ここで判定されます。アクセスが少ないページでは表示されないことがあります。
- パフォーマンススコア(ラボデータ): Lighthouseがその場で1回ページを読み込み、計測した結果を0〜100点にしたものです。
検索の評価に使われるのはフィールドデータ側で、0〜100の点数そのものではありません。点数は原因を探すための道具と考えると、判断を誤りにくくなります。
Lighthouseの点数は5つの指標の加重平均で、Lighthouse 10以降の配分はTBT(Total Blocking Time)30%、LCP 25%、CLS 25%、FCP 10%、Speed Index 10%です(2026年10月現在)。点数を大きく動かすのはTBT・LCP・CLSの3つなので、ここを優先します。
モバイルの点数がPCより大幅に低いのは珍しいことではありません。モバイルの計測は低速回線と処理性能の低い端末を想定した条件で行われるため、同じページでもJavaScriptの処理時間が何倍にも見積もられます。また、計測のたびに数点から十数点ぶれるので、比較するときは3回ほど測って中央値を見ます。
手順1: 改善前の数値を記録し、原因を絞る
最初に、トップページと記事ページのように種類の違うページをそれぞれ計測し、数値を控えておきます。トップだけ遅いならスライダーや新着一覧、記事だけ遅いなら広告や埋め込みが怪しい、と当たりがつけられます。
レポートの下部には、改善の提案と、原因になっているファイルや要素が具体的に表示されます。ファイルのURLに /wp-content/plugins/プラグイン名/ のようなパスが含まれていれば、どのプラグイン由来かが分かります。ここでプラグインごとの負担を把握しておくと、後の作業が速くなります。
手順2: サーバー応答(TTFB)を短くする
HTMLが届くまでが遅いと、その後のすべての指標が後ろにずれます。レポートでサーバーの応答の遅さを指摘されている場合や、最初の表示まで白い画面が続く場合は、ここから手を付けます。
- ページキャッシュを使う: WordPressはアクセスのたびにPHPとデータベースでHTMLを組み立てます。生成済みのHTMLを返すページキャッシュを使うと、応答時間が大きく縮みます。レンタルサーバーが独自のキャッシュ機能を提供している場合は、まずそちらを試します。キャッシュ系プラグインを複数同時に有効にすると不具合の原因になるので、ひとつに絞ります。
- PHPのバージョンを上げる: 古いPHPは処理が遅く、セキュリティ更新も止まっています。サーバーの管理画面で、サポート期間中のPHP 8系を選べるか確認します(2026年10月現在)。切り替え前にバックアップを取り、ステージング環境があればそこで動作を確認してから本番に反映します。
- オブジェクトキャッシュを検討する: 会員サイトやネットショップなど、ページキャッシュが効きにくいサイトでは、RedisやMemcachedを使った永続オブジェクトキャッシュがデータベースへの問い合わせを減らします。
キャッシュを入れても数値が変わらない場合は、ブラウザの開発者ツールでレスポンスヘッダーを見て、キャッシュされたページが実際に返っているかを確かめます。ログイン中はキャッシュを返さない設定が一般的なので、確認はログアウトした状態か、別のブラウザで行います。
手順3: LCP(最大の要素の表示)を早める
LCPの対象になりやすいのは、アイキャッチ画像、トップページのメインビジュアル、記事冒頭の大きな見出しです。レポートにはLCPとして計測された要素が示されるので、まずそれが何かを確認します。
画像がLCPの要素になっている場合は、次の点を見直します。
- 遅延読み込みを外す:
loading="lazy"が付いた画像は読み込みが後回しになります。WordPress本体は本文の先頭付近の画像に遅延読み込みを付けない処理を持っていますが、テーマやプラグインの遅延読み込み機能が、すべての画像に一律で付けていることがあります。 - 読み込みの優先度を上げる: WordPress 6.3以降は、LCPになりそうな画像に
fetchpriority="high"を自動で付けます。テーマのテンプレートで独自に出力しているメインビジュアルは対象から外れることがあるので、その場合は自分で指定します。 - ファイルを軽くする: 表示サイズより大きな画像を縮小し、WebPやAVIFに変換します。AVIFのアップロードはWordPress 6.5から対応していますが、サーバーの画像処理ライブラリが対応している必要があります。
テンプレートでメインビジュアルを出している場合は、<img> タグを直書きせずに wp_get_attachment_image() を使うと、width・height・srcsetが付いたタグが出力され、属性の追加もできます。
<?php
// header.php などのテンプレート内。$hero_id はメインビジュアルの添付ファイルID
echo wp_get_attachment_image(
$hero_id,
'full',
false,
array(
'loading' => 'eager',
'fetchpriority' => 'high',
)
);
手順4: JavaScriptの負担(TBT)を減らす
TBTはスコアの配分が最も大きく、モバイルで点数が伸びない原因の多くがここにあります。典型的な原因は、アクセス解析や広告などの外部タグ、スライダーやSNSの埋め込み、そしてすべてのページで読み込まれるプラグインのスクリプトです。
まず使っていないプラグインを停止し、残すものについては「そのスクリプトが必要なページでだけ読み込む」ようにします。たとえばお問い合わせフォームのプラグインが全ページでCSSとJavaScriptを読み込んでいる場合、子テーマの functions.php で次のように外せます。
<?php
add_action( 'wp_enqueue_scripts', function () {
// お問い合わせページ(スラッグ contact)以外ではフォーム用のファイルを読み込まない
if ( ! is_page( 'contact' ) ) {
wp_dequeue_script( 'example-form' );
wp_dequeue_style( 'example-form' );
}
}, 100 );
example-form は実際のハンドル名に置き換えます。ハンドル名は、ページのソースで <link> タグのid属性(ハンドル名-css の形)を見るか、Query Monitorなどのプラグインで調べられます。外したあとは、フォームのあるページとないページの両方で動作を確認します。
自分で追加するスクリプトは、WordPress 6.3以降なら読み込み方法を指定して、ページの描画を妨げないようにできます。
<?php
add_action( 'wp_enqueue_scripts', function () {
wp_enqueue_script(
'my-theme-script',
get_stylesheet_directory_uri() . '/js/main.js',
array(),
'1.0.0',
array(
'strategy' => 'defer',
'in_footer' => true,
)
);
} );
キャッシュプラグインにある「JavaScriptの遅延実行」や「結合」の機能はTBTの改善に役立つことがありますが、スクリプトの実行順が変わって、メニューやフォームが動かなくなる場合があります。有効にしたら、スマートフォン表示のメニュー、フォームの送信、広告の表示を一通り確かめます。
手順5: CLSとCSSを整える
CLSもスコアの25%を占めます。画像や広告枠にサイズが指定されていない、Webフォントの切り替わりで文字の幅が変わる、といった原因が多く、個別の対策は別の記事で詳しく扱っています。CSSについては、描画を妨げるリソースとして挙がるファイルのうち、そのページで使っていないプラグインのCSSを手順4と同じ方法で外すのが、もっとも副作用の少ない方法です。
改善後の確かめ方
対策をひとつ入れるたびにキャッシュを削除し、同じページを3回ほど計測して比べます。複数の対策を同時に入れると、表示が崩れたときにどれが原因か分からなくなります。
点数が上がっても、フィールドデータに反映されるのは28日間の集計が入れ替わってからなので、Core Web Vitalsの判定が変わるまでには数週間かかります。Search Consoleの「ウェブに関する主な指標」レポートで、似たURLのグループごとの推移を見ると、サイト全体として良くなっているかを判断できます。
まとめ
- PSIの点数はLighthouseによるラボ計測で、検索の評価に使われるのはフィールドデータのCore Web Vitals
- 点数への影響が大きいのはTBT・LCP・CLS。レポートで原因のファイルや要素を特定してから対策する
- サーバー応答はページキャッシュとPHPの更新、LCPは遅延読み込みの除外と画像の軽量化、TBTは不要なスクリプトの削減が基本
- 最適化機能を有効にしたら表示と動作を確認し、効果はフィールドデータの推移で判断する