2026年5月24日

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.com から .jp への切り替え手順|WordPressサイトのドメイン移行とメール・検索エンジンへの対応

.com で運用しているサイトを .jp に切り替えるときは、.jp を取得して新ドメインでサイトを動かし、旧 .com から 301 リダイレクトで転送したうえで、旧ドメインを解約せずに持ち続けるのが基本の流れです。作業の中心は WordPress の URL の置き換えとリダイレクトですが、メールや外部サービスのログイン、Google Search Console への届け出も同時に進めないと、移行後に「メールが届かない」「ログインできない」といった問題が起きます。この記事では、WordPress サイトを例に、準備から移行後の確認までを順に説明します。

切り替える前に決めること

本当に切り替えが必要か

.jp に移る理由には、日本の利用者に向けた印象、会社名との一致、ブランドの統一などがあります。一方で、ドメインの変更は検索エンジンでの評価が新しいドメインに移るまでの間、検索からの流入が不安定になることがあり、移行の作業そのものにも手間がかかります。.jp を取得して .com へ転送するだけにとどめる、という選択肢もあります。

.jp の種類

.jp には、日本国内に住所があれば個人でも登録できる汎用 JP(example.jp)と、日本で登記した会社が1つだけ登録できる属性型 JP(example.co.jp)などがあります。登録の条件や必要な手続きが違うため、どちらにするかを先に決めます。.jp の登録は日本国内に住所を持つことが条件で、海外の法人や個人だけでは登録できません。

旧 .com の扱い

旧ドメインは解約せず、更新を続けます。解約して第三者に取得されると、旧ドメイン宛てのリンクやブックマークがその人のサイトに流れ、旧ドメインのアドレス宛てのメールも相手に届くようになります。リダイレクトは長期間維持する前提で、自動更新を有効にしておきます。

手順1:.jp を取得して DNS と SSL を準備する

.jp を取得したら、サーバーの IP アドレスへ A レコード(IPv6 を使うなら AAAA レコードも)を設定し、SSL 証明書を発行します。この段階では、旧 .com のサイトはそのまま動かしておきます。

# 新ドメインがサーバーを向いているか確認する
dig example.jp A +short
dig www.example.jp A +short

# 証明書が発行されているか確認する
curl -sI https://example.jp/ | head -n 1

メールも .jp に移す場合は、MX レコードと、SPF・DKIM・DMARC のレコードを新ドメインで設定します。旧ドメインの MX は、移行後もしばらくそのまま受け取れる状態にしておきます。

手順2:WordPress の URL を置き換える

作業の前に、データベースとファイルのバックアップを取ります。可能であれば、先にステージング環境で同じ手順を試します。

サイトのアドレスを変更する

「設定」→「一般」の「WordPress アドレス (URL)」と「サイトアドレス (URL)」を新しいドメインにします。この画面で変更すると、保存した直後に新しいドメインへの再ログインを求められます。新ドメインで管理画面に入れない状態になったときに備えて、wp-config.php で一時的に指定する方法も知っておくと安心です。

// wp-config.php の「編集が必要なのはここまでです」より前に書く(一時的な指定)
define( 'WP_HOME', 'https://example.jp' );
define( 'WP_SITEURL', 'https://example.jp' );

この定数を書いている間は、管理画面からアドレスを変更できなくなります。作業が終わったら、設定画面の値を正しくしたうえで削除します。

本文などに残った旧 URL を置き換える

記事中のリンクや画像の URL には、旧ドメインが直接書き込まれています。WP-CLI が使えるなら wp search-replace で置き換えます。この方法は、テーマやプラグインの設定に含まれるシリアライズされたデータも壊さずに置き換えられます。

# まず変更件数だけを確認する(データベースは変更されない)
wp search-replace 'https://example.com' 'https://example.jp' --skip-columns=guid --dry-run

# 件数が想定どおりなら実行する
wp search-replace 'https://example.com' 'https://example.jp' --skip-columns=guid

guid 列は投稿の識別子として使われるため、置き換えの対象から外すのが一般的です。WP-CLI が使えない環境では、Better Search Replace などのプラグインで同じ作業ができます。www 付きや http:// の旧 URL が混じっている場合は、それぞれ置き換えます。マルチサイトでは、サイトごとのドメインの設定も変わるため、手順がさらに増えます。

置き換えた後は、キャッシュ系のプラグインや CDN のキャッシュを削除し、新しいドメインでページを開いて、画像の欠けや混在コンテンツ(https のページ内の http の読み込み)がないかを確認します。

手順3:旧 .com から 301 で転送する

旧ドメインのすべての URL を、同じパスの新ドメインの URL へ 301 で転送します。旧ドメインにも DNS と有効な SSL 証明書が必要です。Nginx の例を示します。

server {
    listen 443 ssl;
    server_name example.com www.example.com;
    ssl_certificate     /etc/letsencrypt/live/example.com/fullchain.pem;
    ssl_certificate_key /etc/letsencrypt/live/example.com/privkey.pem;
    return 301 https://example.jp$request_uri;
}

HTTP(80番)での受け付けや、Apache の .htaccess での書き方、転送を1回で済ませる設計については、複数ドメインのリダイレクトの記事で詳しく扱っています。設定後は、代表的な URL で転送先とパスが合っているかを確認します。

curl -sI https://example.com/about/ | grep -iE '^HTTP|^location'

手順4:検索エンジンに移転を伝える

Google Search Console で、新ドメインのプロパティを追加して所有権を確認し、XML サイトマップを送信します。旧ドメインのプロパティからは、アドレス変更ツールで新ドメインへの移転を届け出ます。アドレス変更ツールは、旧ドメインから新ドメインへの 301 が設定されていることが前提です。

Google のサイト移転のガイドでは、リダイレクトを少なくとも1年程度は維持することが勧められています。移行の直後は検索結果に旧 URL と新 URL が混在したり、流入が一時的に変動したりすることがあり、移転の手続きをしても順位や流入が維持されるとは限りません。ツールの名前や画面は変わることがあるため、Search Console のヘルプで最新の手順を確認してください(2026年10月現在)。

手順5:メールと外部サービスを移す

見落としが多いのがこの部分です。次の項目を一覧にして、1つずつ新ドメインに切り替えます。

  • ログイン用のメールアドレス: レジストラ、サーバー、決済サービス、SNS、クラウドサービスなどのアカウントのメールアドレスを、新しいアドレスへ変更します。
  • WordPress のユーザー: 管理者のメールアドレスと、各ユーザーのメールアドレスを確認します。
  • フォームと通知: お問い合わせフォームの送信元・送信先、WooCommerce などの通知メールの送信元アドレスを変えます。新ドメインの SPF と DKIM が正しくないと、送信したメールが迷惑メールに分類されやすくなります。
  • 外部サービスの登録 URL: アクセス解析、広告、決済サービスのコールバック URL、ソーシャルログインのリダイレクト URL、CDN の設定などです。
  • 名刺・印刷物・SNS のプロフィール: 旧 URL のままでも転送されますが、順次新しいものに替えます。

旧ドメインのメールは、転送設定を使って新しいアドレスで受け取れるようにし、一定期間は旧アドレスにも届く状態を保ちます。

移行後の確認

切り替えから数日〜数週間は、次の点を見ておきます。

  • Search Console で新ドメインのインデックス登録の状況と、クロールのエラーが増えていないか
  • アクセス解析で、旧ドメインからの流入が新ドメインに移っているか
  • 旧ドメインへのアクセスが転送されているか(サーバーのアクセスログで 301 の応答を確認)
  • メールの送受信が新旧どちらのアドレスでも問題ないか

まとめ

  • .jp の種類と登録条件を確認し、旧 .com は解約せず更新を続けます。
  • 新ドメインの DNS・SSL・メールのレコードを先に用意してから、WordPress のアドレスを変更します。
  • 本文の旧 URL は wp search-replace などで、バックアップを取ってから --dry-run で確認して置き換えます。
  • 旧ドメインのすべての URL を、パスを引き継いで 301 で転送し、Search Console のアドレス変更ツールで移転を届け出ます。
  • ログイン用メールアドレス、フォーム、外部サービスの URL を一覧にして切り替えます。

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