2026年8月7日

2026年8月7日

.or.jp と .dev の違い|登録できる組織・伝わる信頼・HTTPS 必須の扱いを比べる

.or.jp は日本で登記された非営利法人などだけが登録できる属性型 JP ドメインで、.dev は誰でも登録できる開発者向けの gTLD です。結論から言うと、団体の公式サイトには .or.jp、開発プロジェクトやドキュメントのサイトを独立させたいときに .dev を検討する、という使い分けが基本になります。この記事では、両者の登録条件、利用者からの見え方、技術的な違い、団体が両方を使い分けるときの構成を整理します。

2つの TLD の基本的な違い

先に要点を表で比べます。細かい規則は変わることがあるため、取得前にレジストリやレジストラの最新の案内を確かめてください。以下は執筆時点の情報です(2026年10月現在)。

項目 .or.jp .dev
種類 属性型 JP ドメイン(ccTLD .jp の一部) gTLD(新 gTLD)
管理 JPRS(日本レジストリサービス) Google Registry
登録できる人 日本で登記された特定の法人組織 個人・法人を問わず登録できる
数の制限 原則として1組織1つ 制限なし
HTTPS 一般のドメインと同じ扱い TLD 全体が HSTS プリロード済みで HTTPS 必須

.or.jp の特徴

登録できるのは日本で登記された法人組織

.or.jp を登録できるのは、財団法人、社団法人、特定非営利活動法人(NPO 法人)、医療法人、宗教法人、各種の協同組合など、規則で定められた日本の法人組織です。株式会社や合同会社は .co.jp、法人格の無い任意団体は .gr.jp という別の属性型ドメインの対象になります。自分の団体がどれに当たるか分からないときは、JPRS の規則か、取得を依頼するレジストラに確かめます。

登録の際には、レジストラから組織の実在を確かめる書類の提出を求められることがあります。また属性型 JP ドメインは、原則として1つの組織が1つしか登録できません。団体名を変える、合併するといった場面では手続きが必要になるので、組織の変更が決まった段階でレジストラに相談しておくと慌てずに済みます。

利用者に伝わる信頼

登録条件があるため、.or.jp を見た利用者は「日本で登記された非営利の団体」と受け取りやすくなります。寄付の受付や会員の募集、行政や企業との連携など、団体の実在を示すことが大切な場面では、この信頼感が利点になります。ただし、TLD はあくまで手がかりの一つで、サイトの内容や運営者情報の明記が大事なことに変わりはありません。

組織の状態に結びつく

.or.jp は組織の存在が前提なので、団体が解散したり条件を満たさなくなったりすると、登録を続けられなくなります。個人が引き継いで使い続けることはできない点も、汎用のドメインとの大きな違いです。

.dev の特徴

誰でも登録でき、HTTPS が前提

.dev は Google Registry が管理する gTLD で、登録者の条件はありません。ソフトウェア開発者やプロジェクト向けという位置付けですが、用途の審査も行われていません。

最大の特徴は、TLD 全体がブラウザーの HSTS プリロードリストに登録されていることです。主要なブラウザーは .dev のドメインを最初から HTTPS で開こうとし、HTTP では接続しません。そのため、SSL 証明書を用意する前にサイトを仮公開する、ということができません。サブドメインもすべて対象になるので、docs.example.dev や staging.example.dev を作るたびに証明書が必要です。

利用者に伝わる印象

技術系の読者には「開発者向けのサイト」と伝わりやすい一方、一般の利用者には見慣れない TLD です。団体の名前や活動内容とは直接結びつかないため、公式サイトの代わりとして使うと、「本物の団体のサイトか」が伝わりにくくなります。

検索での扱い

.or.jp は ccTLD .jp の一部なので、Google は日本向けのサイトという手がかりとして扱います。.dev は gTLD なので国や地域の手がかりにはなりません。どちらを選んでも、TLD だけで検索順位が上がることはありません。日本の利用者向けの団体サイトなら .or.jp が自然で、海外の開発者にも読んでもらうドキュメントなら gTLD の .dev は扱いやすい、という程度に考えます。

団体が両方を使い分けるときの構成

たとえば NPO 法人がオープンソースのソフトウェアを公開していて、そのドキュメントサイトを作りたい、という場面を考えます。選択肢は次の2つです。

  1. **.or.jp のサブドメインを使う**:docs.example.or.jp のようにすれば、追加のドメイン取得は不要で、団体のサイトであることも伝わります。管理するドメインが1つで済むのも利点です。
  2. **.dev を別に取得する**:example.dev のように独立した名前にすると、海外の開発者にも覚えてもらいやすく、プロジェクトが団体から独立したときにも移しやすくなります。

.dev を別に取る場合は、団体の公式サイトから .dev のサイトへリンクし、.dev 側にも運営団体と公式サイトへのリンクを明記して、つながりを利用者が確かめられるようにします。どちらのドメインも、レジストラのアカウントは団体の共有アカウントで管理し、担当者個人のアカウントに置かないことが大切です。担当者が退職したとたんに更新できなくなる、という事故は珍しくありません。

WordPress で使うときの違い

.or.jp は一般のドメインと同じ手順で WordPress に接続できます。DNS の A レコードをサーバーへ向け、サーバー側で SSL 証明書を発行し、WordPress アドレスとサイトアドレスを https:// にそろえます。

.dev では、証明書の発行を DNS 設定の直後に済ませる必要があります。HTTP のまま WordPress のインストール画面を開くことはできないため、サーバー側でドメインを追加したら、先に証明書を発行してからインストールに進みます。HSTS プリロードの仕組みと開発環境での注意点は、.dev の選び方を扱う別の記事で詳しく説明しています。

どちらのドメインでも、既存サイトのドメインを変更するときは、作業前にデータベースとファイルのバックアップを取り、ステージング環境で試してから本番に反映します。

どちらを選ぶかの目安

  • 団体の公式サイト、寄付や会員募集のページ、行政や企業向けの窓口には .or.jp
  • 開発プロジェクト、技術ドキュメント、海外の開発者向けの発信には .dev(または .or.jp のサブドメイン)
  • 個人や法人格の無いグループの開発ブログなら、.or.jp は取得できないため .dev などの gTLD

まとめ

  • .or.jp は日本で登記された非営利法人などに限られ、原則1組織1つです。団体の実在が伝わる一方、組織の状態に登録が結びつきます。
  • .dev は誰でも登録できますが、TLD 全体が HSTS プリロード済みで、サブドメインも含めて HTTPS でしか開けません。
  • TLD だけで検索順位は変わりません。.or.jp は日本向けの手がかりになり、.dev は国の手がかりになりません。
  • 両方を使うなら相互にリンクして運営者を明記し、レジストラのアカウントは団体の共有アカウントで管理します。

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