2026年9月2日
2026年9月2日
WordPressのサイトエディター(FSE)の使い方|できること・始め方・失敗しない運用
サイトエディターは、ヘッダー・フッター・投稿ページの枠組み・色や文字の設定まで、サイト全体をブロックで編集できる WordPress の機能で、この仕組みはフルサイト編集(FSE)と呼ばれてきました。使えるのは「ブロックテーマ」を有効にしているときだけです。この記事では、サイトエディターでできることと開き方、テンプレート・テンプレートパーツ・スタイルの編集手順、変更が保存される場所と元に戻す方法までを、初めて触る人向けに順を追って解説します。
サイトエディターとFSEの関係
FSE(Full Site Editing)は、WordPress 5.9 で本格的に導入された「サイト全体をブロックで組み立てる」ための一連の機能の総称です。サイトエディターはその中心になる編集画面で、現在の WordPress では FSE という呼び方より「サイトエディター」「ブロックテーマ」という呼び方が公式ドキュメントで使われることが多くなっています。
従来のクラシックテーマでは、ヘッダーやフッターの見た目は PHP のテンプレートファイル(header.php など)とカスタマイザーで決まり、変えるにはテーマの設定項目を探すか、コードを書く必要がありました。ブロックテーマでは、これらが HTML 形式のテンプレート(中身はブロックのマークアップ)になっていて、投稿を編集するのと同じ感覚で画面上から組み替えられます。
使えるかどうかの確認
サイトエディターを使う条件は、ブロックテーマを有効にしていることです。テーマの中に templates/index.html があるものがブロックテーマとして扱われます。Twenty Twenty-Four や Twenty Twenty-Five などの近年のデフォルトテーマはブロックテーマです。
管理画面の「外観」メニューに「エディター」があれば、ブロックテーマが有効になっています。「カスタマイズ」や「ウィジェット」が並んでいる場合はクラシックテーマです。クラシックテーマでも、バージョンによっては「外観」に「パターン」などの一部の画面が表示されますが、サイト全体のテンプレートを編集することはできません(2026年10月現在)。
クラシックテーマからブロックテーマへの切り替えは、見た目が大きく変わり、ウィジェットやカスタマイザーの設定が引き継がれないことが多い作業です。本番サイトでいきなり切り替えず、ステージング環境で表示と機能を確かめてから進めてください。作業前には、ファイルとデータベースのバックアップを取っておきます。
サイトエディターの開き方と画面の構成
「外観」→「エディター」を開くと、左側にナビゲーション、右側にサイトのプレビューが表示されます。左側には、おおむね次のような項目が並びます。メニューの名前や並び順はバージョンによって変わるため、近い名前の項目を探してください。
- ナビゲーション:ヘッダーなどに置くメニューの編集
- スタイル:サイト全体の色、文字、余白などの設定(グローバルスタイル)
- ページ:固定ページの一覧と編集
- テンプレート:投稿、固定ページ、アーカイブ、404 など、ページの種類ごとの枠組み
- パターン:ブロックパターンと、ヘッダー・フッターなどのテンプレートパーツ
プレビュー部分をクリックすると編集モードに入り、投稿エディターと同じようにブロックを選んで編集できます。
テンプレートを編集する
テンプレートは「どの種類のページを、どのブロックの並びで表示するか」を決めるものです。たとえば「単一投稿」のテンプレートには、投稿タイトル、アイキャッチ画像、投稿コンテンツ、コメントなどのブロックが入っています。個々の記事の本文は「投稿コンテンツ」ブロックの位置に差し込まれます。
よくある編集例として、投稿ページで日付の下に著者名を表示したい場合は、次の流れになります。
- 「テンプレート」から「単一投稿」(表記はテーマにより異なります)を開く
- 投稿の日付ブロックの近くでブロックを追加し、「投稿者名」などのブロックを選ぶ
- 右上の「保存」を押し、保存対象の一覧を確認して確定する
テンプレートの中のブロックは、特定の記事ではなく、そのテンプレートを使う全ページに反映されます。投稿エディターで記事を書いている感覚で文章を入れてしまうと、全記事に同じ文章が表示されるので注意してください。特定のカテゴリーだけ見た目を変えたいときは、テンプレートを新規追加し、対象のカテゴリーを指定して作ります。
テンプレートパーツでヘッダーとフッターを共通化する
ヘッダーやフッターは、複数のテンプレートで使い回す「テンプレートパーツ」になっています。テンプレートパーツを編集すると、それを読み込んでいるすべてのテンプレートに反映されるので、ロゴの差し替えやメニューの追加は1か所の編集で済みます。
テンプレートパーツの中でヘッダーを編集するとき、つまずきやすいのがナビゲーションブロックです。メニューの中身は別に保存されていて、ナビゲーションブロックがどのメニューを表示しているかは、ブロックの設定で切り替えます。「メニューを直したのにヘッダーに反映されない」場合は、ブロックが別のメニューを参照していないかを確認してください。
スタイルでサイト全体の見た目を整える
「スタイル」では、配色、フォント、見出しやボタンなどのブロックごとの見た目を、サイト全体に対してまとめて設定します。テーマによっては複数のスタイルバリエーション(配色や雰囲気の違うセット)が用意されていて、選ぶだけで全体の印象を変えられます。
ここでの設定は、個々のブロックで色を直接指定するより優先順位が低く、ブロック側で個別に指定した値が残っていると、スタイルを変えてもそのブロックだけ変わりません。サイト全体で色を統一したいときは、個々のブロックではなくスタイル側で指定し、ブロックではテーマのパレットから色を選ぶようにすると、あとで配色を変えたときに崩れにくくなります。
変更はどこに保存されるのか
サイトエディターで保存した内容は、テーマのファイルではなくデータベースに保存されます。テンプレートは wp_template、テンプレートパーツは wp_template_part、スタイルは wp_global_styles という投稿タイプとして記録され、テーマのファイルより優先して使われます。
この仕組みから、次のことが言えます。
- テーマを更新しても、サイトエディターで行った変更は消えません。その代わり、テーマ側で改善されたテンプレートの内容も、カスタマイズ済みのテンプレートには反映されません
- 変更はテーマごとに記録されるため、別のテーマに切り替えると、それまでの変更は表示されなくなります
- データベースのバックアップがあれば、サイトエディターでの変更も一緒に戻せます
テンプレートを元に戻したいときは、テンプレートの一覧や編集画面のメニューにある「リセット」「カスタマイズをクリア」などの操作で、テーマのファイルの状態に戻せます。スタイルには変更履歴(リビジョン)があり、過去の状態を選んで戻すこともできます。どちらも表記はバージョンによって異なります。
コードで管理したい場合
サイトエディターでの変更は手軽ですが、データベースに入るため、Git での管理や別サイトへの持ち出しがしにくくなります。制作会社がテーマとして納品する場合や、複数の環境で同じ見た目を保ちたい場合は、変更をテーマのファイルに書き出しておく運用が向いています。
- サイトエディターのメニューにある「エクスポート」で、変更を反映したテーマを zip でダウンロードできます
- WordPress.org で公開されている「Create Block Theme」プラグインを使うと、現在の変更を子テーマや新しいテーマとして保存できます
親テーマのファイルを直接書き換えると、テーマの更新で上書きされます。ファイルとして管理する場合は子テーマを作り、そこにテンプレート(templates/ フォルダ)、テンプレートパーツ(parts/ フォルダ)、theme.json を置きます。子テーマの theme.json は親テーマの設定に上書きする形で合成されるので、変えたい項目だけを書けば済みます。
うまくいかないときの確認ポイント
「外観」に「エディター」がない:有効なテーマがクラシックテーマです。テーマの説明やフォルダに templates/index.html があるかを確認してください。
テーマのファイルを直したのに表示が変わらない:同じテンプレートをサイトエディターで編集済みだと、データベースの内容が優先されます。そのテンプレートのカスタマイズをクリアすると、ファイルの内容が使われます。クリアするとサイトエディターでの変更は失われるので、必要な部分は先にメモかエクスポートで控えておきます。
保存したら別のページまで変わった:テンプレートやテンプレートパーツ、同期パターンを編集すると、それを使っているすべての場所が変わります。保存時に表示される保存対象の一覧で、何が変わるのかを確かめてから確定する習慣を付けると防げます。
まとめ
- サイトエディターはブロックテーマで使える機能で、FSE はその仕組みの総称
- 「外観」→「エディター」から、テンプレート・テンプレートパーツ・スタイル・ナビゲーションを編集する
- テンプレートの変更は、そのテンプレートを使う全ページに反映される
- 変更はデータベースに保存され、テーマのファイルより優先される。リセットでファイルの状態に戻せる
- ファイルで管理したいときはエクスポートや Create Block Theme を使い、子テーマで作業する
- 切り替えや大きな変更の前には、バックアップとステージング環境での確認を行う