2026年7月18日
2026年7月18日
ConoHa WINGでWordPressを高速化する設定ガイド(サーバー機能とプラグインの使い分け)
ConoHa WINGでWordPressを速くするには、サーバー側の機能(PHPのバージョン、コンテンツキャッシュ・ブラウザキャッシュ、WEXAL)を先に整え、そのうえでプラグインは「サーバー機能と役割が重ならないもの」だけを足すのが近道です。同じ役割のキャッシュや最適化を二重にかけると、速くなるどころか表示崩れや更新が反映されない原因になります。この記事では、計測の仕方、コントロールパネルで見直す項目、WordPress側の調整、よくあるつまずきを順に説明します。
ConoHa WINGの機能名やコントロールパネルのメニュー構成は更新されることがあります。この記事は公式サイトの説明をもとにしています(2026年10月現在)。設定を変える前にバックアップを取り、一度に一つずつ変更して効果を確認してください。
まず現状を計測する
「遅い」の中身によって、効く対策が変わります。最初に次の3つを見ておくと、変更前後の比較ができます。
- PageSpeed Insights:上部の「実際のユーザーの環境」(フィールドデータ)はChromeの利用者から集めた実測値で、アクセスが少ないサイトでは表示されないことがあります。下部の診断(ラボデータ)は1回の計測なので、値が毎回ぶれる前提で何度か測ります。
- サーバーの応答時間(TTFB):HTMLが返ってくるまでの時間です。
# 最初の1バイトが届くまでの秒数を表示(URLは自分のサイトに置き換え)
curl -o /dev/null -s -w 'TTFB: %{time_starttransfer}s\n' https://example.com/
- WordPress内部の処理:Query Monitorプラグインを一時的に有効にすると、遅いデータベースクエリや、処理に時間がかかっているプラグインを確認できます。調査が終わったら無効化します。
TTFBが遅いならサーバー側(PHPやデータベース、キャッシュ)、TTFBは速いのに表示が遅いなら画像やCSS・JavaScriptの読み込み、と切り分けられます。
コントロールパネルで見直す項目
PHPのバージョン
ConoHa WINGでは、コントロールパネルからサイトごとにPHPのバージョンを選べます。新しいPHPほど処理が速い傾向があるため、WordPressとテーマ・プラグインが対応している範囲で、サポート中の新しいバージョンを選びます。古いプラグインがエラーを出すことがあるので、切り替え後はトップページ・記事ページ・管理画面・問い合わせフォームを一通り確認し、問題があれば元のバージョンに戻します。
公式サイトの説明では、ConoHa WINGはWebサーバーにnginxを使い、PHPの実行環境にLiteSpeed LSAPIを採用しているとされています。PHPの実行方式はサーバー側で決まっているため、利用者が設定する項目はバージョンの選択が中心です。
コンテンツキャッシュとブラウザキャッシュ
ConoHa WINGには、サーバー側でページをキャッシュする機能と、ブラウザに画像やCSSを保存させるための設定が用意されています(公式サイトでは独自チューニングのキャッシュとして紹介されています)。サイトの設定にある高速化関連の項目から有効・無効を切り替えられますが、表記や場所は変わることがあるので、見当たらない場合は公式のサポートページで確認してください。
- コンテンツキャッシュ:生成済みのページをサーバーが保存して返す仕組みで、TTFBの短縮に最も効きやすい項目です。一方で、会員ページやカート、ログイン中に表示が変わるページなど、利用者ごとに内容が変わるページがあるサイトでは、意図しない表示にならないかを確認します。
- ブラウザキャッシュ:2回目以降の訪問で画像やCSS・JavaScriptを再ダウンロードしないようにします。CSSを更新したのに古い見た目のままになる場合は、ブラウザのキャッシュ削除や、ファイルにバージョン番号を付けて読み込むことで解決します。
WEXAL
WEXAL(WEXAL Page Speed Technology)は、CSS・JavaScript・画像を自動で最適化する機能として、ConoHa WINGで無償提供されています。有効にするとページの読み込みが軽くなる場合がありますが、JavaScriptの読み込み順序が変わることで、スライダーやフォーム、広告タグ、アクセス解析が動かなくなることがあります。有効化した直後に主要なページの動作を確認し、問題があれば無効に戻します。
プラグインとの使い分け
サーバー側の機能とプラグインで役割が重なると、どちらが原因で問題が起きているのか分かりにくくなります。次の考え方で整理すると安全です。
- ページキャッシュ:コンテンツキャッシュを使うなら、ページキャッシュ系プラグインは入れないか、ページキャッシュ機能を切って他の機能だけを使います。二重にすると、記事を更新しても古いページが残り続けることがあります。
- CSS・JavaScriptの圧縮や遅延読み込み:WEXALを使うなら、プラグイン側の同種の機能は無効にします。どちらか一方に絞ってください。
- LiteSpeed Cacheプラグイン:ページキャッシュ機能はLiteSpeed系のWebサーバーと組み合わせて動く仕組みです。ConoHa WINGはWebサーバーがnginxのため、この機能が期待どおり動かない可能性があります。導入する場合は、サーバー構成との対応を公式情報で確認してください。
キャッシュをすべて有効にした状態で不具合が出たら、一つずつ無効にして原因を特定します。
WordPress側で効果が出やすい調整
画像
表示速度に最も影響しやすいのが画像です。
- アップロード前に、表示サイズに合わせて縮小します。スマートフォンの写真をそのまま載せると数MBになることがあります。
- WordPressはWebPのアップロードに対応しており、6.5以降はAVIFにも対応しています。対応状況はサーバーの画像処理ライブラリにも左右されるので、メディアライブラリで表示を確認してから使います。
- 本文の画像には標準で
loading="lazy"が付きますが、ファーストビューのメイン画像には遅延読み込みを使わない方が、主要な表示指標(LCP)が改善しやすくなります。WordPress 6.3以降は、メイン画像と推定した画像にfetchpriority="high"を自動で付ける仕組みもあります。
CSS・JavaScriptの読み込み
子テーマなどで独自のスクリプトを読み込む場合は、wp_enqueue_script の strategy 引数(WordPress 6.3以降)で defer を指定すると、HTMLの解析を止めずに読み込めます。
// 子テーマの functions.php の例
add_action( 'wp_enqueue_scripts', function () {
wp_enqueue_script(
'child-main',
get_stylesheet_directory_uri() . '/js/main.js',
array(),
'1.0.0',
array(
'strategy' => 'defer',
'in_footer' => true,
)
);
} );
不要なプラグインと自動読み込みデータ
使っていないプラグインは無効化だけでなく削除します。また、プラグインを削除した後も、設定値がデータベースの options テーブルに残り、ページを表示するたびに読み込まれていることがあります。SSHとWP-CLIが使える場合は、自動読み込みされる大きな設定値を次のように確認できます。
# 自動読み込みされる設定値のうち、サイズの大きい上位20件を表示
wp db query "SELECT option_name, LENGTH(option_value) AS bytes FROM $(wp db prefix)options WHERE autoload IN ('yes','on','auto-on','auto') ORDER BY bytes DESC LIMIT 20;"
見覚えのない項目があっても、すぐに削除しないでください。どのプラグインの設定かを調べ、データベースのバックアップを取ってから対処します。管理画面の「サイトヘルス」でも、自動読み込みのデータが多すぎる場合に注意が表示されることがあります。
よくあるつまずき
- 更新が反映されない:コンテンツキャッシュ、プラグインのキャッシュ、ブラウザのキャッシュのどれかが残っています。サーバー側、プラグイン、ブラウザの順に削除して確認します。
- WEXALを有効にしたら一部の機能が動かない:JavaScriptの最適化が原因の可能性があります。いったん無効にして再現するかを確かめます。
- スコアは上がったのに体感が変わらない:ラボデータのスコアだけを追いかけている可能性があります。TTFBやフィールドデータもあわせて見ます。表示速度の改善は利用者の体験を良くするための取り組みで、検索順位の上昇を約束するものではありません。
まとめ
- 最初にPageSpeed InsightsとTTFBで現状を計測し、サーバー側と表示側のどちらが遅いのかを切り分けます。
- ConoHa WINGでは、PHPのバージョン、コンテンツキャッシュ・ブラウザキャッシュ、WEXALをコントロールパネルで整えるのが出発点です。
- サーバー機能とプラグインで同じ役割を二重にかけないようにし、不具合が出たら一つずつ無効にして原因を探します。
- WordPress側では、画像の縮小と形式、メイン画像の読み込み優先度、スクリプトの
defer、不要なプラグインと自動読み込みデータの整理が効きやすい項目です。 - 変更は一つずつ行い、バックアップを取ってから進めます。