2026年7月4日

2026年7月4日

WordPressでGoogleのパッセージランキングを意識した記事の見出し設計

Google のパッセージランキング(Passage Ranking)は、ページの中の一部分(パッセージ)が検索の質問に答えているかを Google が読み取る仕組みで、サイト側で設定するマークアップやプラグインの項目はありません。サイト運営者にできるのは、各見出しの下に「一つの問いと、その答え」がまとまった、読者にとって分かりやすい構造を作ることです。この記事では、その考え方を WordPress のブロックエディターで実践する見出しの設計方法と、公開前の確認手順を解説します。

先に断っておくと、見出しを工夫すれば順位が上がる、という約束はできません。ここで扱うのは、読者が目的の答えにたどり着きやすくなり、その結果として検索エンジンにも内容が伝わりやすくなる構造の作り方です。

パッセージランキングとは何か

Google は 2020 年にこの仕組みを発表し、2021 年に米国の英語の検索から導入したと説明しています。Google が公開しているランキングシステムの解説でも、ページ内の個々の部分を見分けて、ページと検索との関連性をより深く理解するための仕組みとして紹介されています。日本語の検索での扱いを含め、対象範囲の最新状況は Google 検索セントラルの公式情報で確認してください(2026年10月現在)。

誤解されやすい点を整理します。

  • 段落ごとに別々にインデックスされるわけではない:発表当初は「パッセージインデックス」と呼ばれたこともありましたが、Google は、ページ単位でインデックスしたうえで、順位付けの際にページ内の部分も考慮する仕組みだと説明しています
  • 専用のマークアップや設定はない:構造化データ、特定の HTML 属性、プラグインの設定で「対応させる」ものではありません
  • 長い記事が有利になる仕組みでもない:長いページの中に埋もれた答えも見つけられるようになった、という性質のもので、文字数を増やすことが目的ではありません

つまり、特別な対策というより、読者のための構造化の話です。

見出し設計の基本方針

1つの h2 に1つの問い

h2 ごとに、読者が持っている問いを1つだけ割り当てます。「設定方法と注意点とよくある質問」のように複数の話題を1つのセクションに詰め込むと、どこに何の答えがあるのかが読者にも分かりにくくなります。h3 は、その問いを分解した小さな問いや手順に使います。

見出しだけで内容が分かる言葉にする

「方法」「注意点」「その他」のような見出しは、記事の流れの中では意味が通じても、見出しだけを読むと何の話か分かりません。目次から飛んできた読者や、見出しだけを拾い読みする読者のために、主語や対象を含めた具体的な言葉にします。

  • 分かりにくい例:「設定方法」「注意点」
  • 分かりやすい例:「キャッシュプラグインでページキャッシュを有効にする手順」「ログイン中のユーザーにキャッシュが効かない理由」

ただし、すべての見出しに同じキーワードを繰り返し入れる必要はありません。不自然な繰り返しは読みにくくなるだけです。

見出しの直後に答えを書く

見出しの下の最初の1〜2文で、その問いへの答えを先に書き、続けて理由や手順、例外を説明します。見出しの直後に前置きや背景説明が長く続くと、読者は答えを探して読み進めることになります。この「答えを先に書く」書き方は、パッセージランキングの有無にかかわらず、検索から来た読者の満足度に直結します。

セクションの中で話をそらさない

1つのセクションの中で別の話題に移りたくなったら、新しい見出しを立てるか、別記事に分けて内部リンクでつなぎます。逆に、2〜3行しかないセクションが続く場合は、見出しを細かく切りすぎているサインです。

見出しの階層をそろえる

WordPress のテーマの多くは、記事タイトルを h1 として出力します。そのため本文は h2 から始め、h2 の下に h3、h3 の下に h4 という順番で使います。

  • 本文に見出しブロックで H1 を追加しない(タイトルと重複する)
  • h2 の次にいきなり h4 を使うなど、レベルを飛ばさない
  • 文字を大きくしたいだけの場所に見出しを使わない。見た目の強調には太字や段落のスタイルを使う

見出しの階層はアクセシビリティにも関わります。WCAG 2.2 では、見出しなどで情報の構造をプログラムから読み取れるようにすること(達成基準 1.3.1)や、見出しが内容を説明していること(2.4.6)が求められています。レベルの飛ばしが直ちに基準違反とされるわけではありませんが、スクリーンリーダーで見出し一覧から移動する利用者にとっては、そろった階層のほうが内容をつかみやすくなります。

設計例:見出しの組み直し

「WordPress のサイトが遅い」という記事を例に、組み直しの前後を比べます。

組み直す前(話題が混在し、見出しだけでは中身が分からない):

  • h2 はじめに
  • h2 原因
  • h2 対策
    • h3 その1
    • h3 その2
  • h2 まとめ

組み直した後(各 h2 が1つの問いに対応している):

  • h2 まず確認したい:遅いのはサーバーの応答か、画面の表示か
  • h2 サーバーの応答が遅いときの調べ方
    • h3 応答時間(TTFB)の測り方
    • h3 プラグインごとの処理時間を調べる方法
  • h2 画像が原因で表示が遅いときの対処
  • h2 キャッシュプラグインを入れても速くならない理由
  • h2 まとめ

組み直した後の見出しは、それぞれが検索で使われそうな問いの形に近く、見出しの下だけを読んでも答えが完結します。

WordPress での作業手順

1. 書く前に見出しだけを並べる

本文を書く前に、見出しブロックだけで記事の骨組みを作ります。並べた見出しを上から読んで、読者の問いが順番に解決していくか、重複や抜けがないかを確認します。

2. 文書の概要で階層を確認する

ブロックエディターには、記事内の見出しを一覧で表示する機能(文書の概要やアウトライン表示)があります。ここで見出しのレベルが飛んでいないか、H1 が混ざっていないかを確認します。メニューの名称や場所はバージョンによって変わることがあるので、見つからない場合はツールバーのリスト表示や「概要」に関する項目を探してください。

3. 見出しにアンカーを付ける

見出しブロックの詳細設定にある HTML アンカーの欄に英数字の ID を入れると、https://example.com/post/#cache-settings のような URL でその見出しへ直接移動できます。目次プラグインを使う場合は、自動でアンカーが付くものが多くあります。目次は長い記事で読者が目的のセクションへ移動する手段として役立ちますが、目次を置くこと自体が順位に影響するわけではありません。

4. 公開後は検索クエリで見直す

公開から一定期間たったら、Search Console の検索パフォーマンスで、そのページがどんな検索語句で表示されているかを確認します。想定していなかった問いで表示されているのに、その答えが本文の奥に埋もれている場合は、その問いに対応するセクションを立てるか、既存の見出しと最初の文を書き直します。

避けたいこと

  • 見出しにキーワードを詰め込む、同じ語を不自然に繰り返す
  • 検索されそうな問いを並べただけで、中身の薄いセクションを量産する
  • 読者に役立たない文章を足して文字数を増やす
  • 見出しの文言を短期間に何度も変えて、効果を判断しようとする

Google はタイトルやスニペット(検索結果の説明文)を、ページの内容に合わせて書き換えて表示することがあります。見出しや冒頭の文がそのまま検索結果に使われるとは限らないため、表示のされ方よりも、ページを開いた読者が答えを見つけられるかを基準に判断してください。

まとめ

  • パッセージランキングは Google 内部の仕組みで、サイト側で設定するマークアップやプラグインの項目はない
  • 1つの h2 に1つの問いを割り当て、見出しだけで内容が分かる言葉にする
  • 見出しの直後に答えを書き、理由や手順はその後に続ける
  • 本文は h2 から始め、レベルを飛ばさない。見た目の強調に見出しを使わない
  • 公開後は Search Console の検索語句を見て、埋もれた答えを見出しとして立て直す
  • 順位の向上は約束できない。読者が答えにたどり着ける構造を目標にする

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