2026年8月30日
2026年8月30日
WordPressで不動産サイト(物件情報サイト)を構築する方法
WordPressで不動産サイトを作るなら、物件を通常の投稿と分けて「カスタム投稿タイプ」で管理し、賃料・間取り・面積などはカスタムフィールド、エリアや種別はタクソノミーで持たせる構成が基本です。この記事では、その情報設計から物件ページの作り方、検索・問い合わせ、広告表示の注意点、運用と公開前チェックまでを順に解説します。読み終えるころには、自社で物件を登録・更新できるサイトの骨組みを組み立てられるようになります。
不動産サイトで決めておくこと
作り始める前に、次の点を社内で整理しておきます。後から変えると物件データの入れ直しが発生するため、ここが一番大事な工程です。
- 扱う物件の種類(賃貸・売買、居住用・事業用、土地など)
- 物件ごとに表示する項目(賃料または価格、管理費、間取り、専有面積、築年月、最寄り駅と徒歩分数、設備など)
- 読者がどの条件で物件を探すか(エリア、駅、間取り、賃料帯など)
- 物件を登録・更新するのは誰か、1か月に何件くらい入れ替わるか
情報設計:物件はカスタム投稿タイプで管理する
なぜ通常の投稿と分けるのか
物件を「投稿」に入れると、お知らせやブログ記事と同じ一覧に混ざり、入力項目も物件向けになりません。「物件」という専用のカスタム投稿タイプを作ると、管理画面のメニューが分かれ、物件一覧ページ(アーカイブ)も別のURLで用意できます。
タクソノミーとカスタムフィールドの使い分け
物件の情報は、次の基準で入れ物を分けると整理しやすくなります。
- タクソノミー:読者が絞り込みに使う分類。エリア、物件種別(マンション・戸建て・土地)、取引種別(賃貸・売買)、こだわり条件(ペット可・駐車場ありなど)
- カスタムフィールド:物件ごとに値が違う項目。賃料や価格、管理費、専有面積、間取り、築年月、所在地、徒歩分数
迷ったときは「一覧ページとしてまとめて見せたいか」で判断します。「渋谷区の物件一覧」のように見せたいものはタクソノミー、数値で比べたいものはカスタムフィールドに向いています。
カスタム投稿タイプとタクソノミーの登録
管理画面だけで作りたい場合は、カスタム投稿タイプを登録できるプラグイン(Custom Post Type UI など)や、Advanced Custom Fields(ACF)の投稿タイプ登録機能を使えます(2026年10月現在)。コードで登録する場合は、子テーマの functions.php か自作の小さなプラグインに次のように書きます。作業前にサイトのバックアップを取ってください。
<?php
// 物件(property)とエリア(property_area)を登録する
add_action( 'init', function () {
register_post_type( 'property', array(
'labels' => array(
'name' => '物件',
'singular_name' => '物件',
'add_new_item' => '物件を追加',
),
'public' => true,
'has_archive' => true,
'menu_icon' => 'dashicons-building',
'supports' => array( 'title', 'editor', 'thumbnail', 'excerpt' ),
'show_in_rest' => true, // ブロックエディターを使う
'rewrite' => array( 'slug' => 'property' ),
) );
register_taxonomy( 'property_area', 'property', array(
'labels' => array( 'name' => 'エリア' ),
'hierarchical' => true, // 都道府県 > 市区町村 のように親子を作れる
'public' => true,
'show_in_rest' => true,
'show_admin_column' => true,
'rewrite' => array( 'slug' => 'area' ),
) );
} );
追加したあとは「設定 → パーマリンク」を開いて何も変えずに「変更を保存」を押します。これでURLのルールが更新され、物件ページが404になる問題を防げます。確認として、物件を1件登録し、個別ページと /property/ の一覧ページが開くかを見てください。
物件項目はフィールドプラグインで作る
賃料や間取りなどの入力欄は、ACF などのカスタムフィールドプラグインで作るのが現実的です。管理画面でフィールドグループを作り、表示条件を「投稿タイプが物件のとき」に設定すると、物件の編集画面にだけ入力欄が出ます。
ここでのつまずきやすい点は、数値の入れ方です。賃料を「8.5万円」のような文字で入れると、後で賃料帯で絞り込めません。数値フィールドを使い、単位(円・万円)を社内で統一して数字だけを入れるルールにします。
テーマのテンプレートで値を表示する場合は、出力時にエスケープします。
<?php
$rent = get_field( 'rent' ); // ACFのフィールド名「rent」
if ( $rent ) {
echo '<p>賃料:' . esc_html( number_format( (int) $rent ) ) . '円</p>';
}
テーマの選び方
テーマはブロックテーマとクラシックテーマのどちらでも構築できます。ブロックテーマはサイトエディターで物件一覧のレイアウトを組みやすく、クラシックテーマはPHPテンプレートで物件ページを細かく作り込む場合に扱いやすい傾向があります。
不動産サイトでは写真の見せ方が成約に直結するため、次の点を確認して選びます。
- 物件写真を複数枚並べても崩れないか(ギャラリーやスライダーの表示)
- スマートフォンで物件情報の表が読みやすいか
- カスタム投稿タイプのアーカイブや個別ページのテンプレートを作れるか
- 開発元が継続して更新しているか
物件検索と問い合わせの実装
絞り込み検索
WordPress標準の検索は、主にタイトルと本文を対象にしており、カスタムフィールドの値は検索しません。そのため「エリア×間取り×賃料帯」のような条件検索は、別の仕組みが必要です。
- タクソノミーで分けたエリアや種別は、それぞれの一覧ページへのリンクを並べるだけでも簡易的な絞り込みになる
- 複数条件を組み合わせる検索は、絞り込み検索用のプラグインを使うか、
WP_Queryのtax_queryとmeta_queryを使って自作する - 賃料や面積の範囲検索では、カスタムフィールドを数値として比較する設定が必要になる
物件数が多くなると、カスタムフィールドを使った検索はデータベースの負荷が高くなります。物件数が数千件を超える規模になりそうなら、検索の作り方を早い段階で開発者と相談してください。
物件ごとの問い合わせ
問い合わせフォームは Contact Form 7 などのフォームプラグインで作れます。物件ページから問い合わせたときに、どの物件についての問い合わせか分かるようにしておくと、対応の取り違えを防げます。フォームを物件ページのテンプレートに置き、物件名や物件番号を送信内容に含める方法が一般的です。
フォームを置いたら、テスト送信をして、社内の担当者に届くか、自動返信メールが迷惑メールに入らないかを確認します。メールが届かない場合は、SMTP経由で送信する設定を検討します。
地図の表示
所在地の地図は、Google マップの共有メニューから取得できる埋め込みコードを使うのが手軽です。地図APIを使う機能を入れる場合はAPIキーが必要になり、キーには利用できるサイトを制限する設定を付けておきます。具体的な設定画面は変わることがあるため公式ドキュメントで確認してください。
広告表示のルールに注意する
不動産の広告には、宅地建物取引業法による規制(誇大広告の禁止、広告を始められる時期の制限、取引態様の明示など)や、業界の公正競争規約による表示ルールがあります。Webサイトの物件情報も広告として扱われるため、表示すべき項目や使ってはいけない表現について、宅地建物取引士や所属する業界団体、弁護士などの専門家に確認してください。この記事は法的な判断の代わりにはなりません。
サイト運用の面では、成約済みや募集終了の物件を掲載し続けないことが特に重要です。物件の状態を表すタクソノミー(募集中・成約済み)を用意するか、募集終了の時点で物件を下書きに戻すなど、社内で手順を決めておきます。
運用:権限・更新・バックアップ
- 権限:物件を登録するスタッフには「編集者」や「投稿者」を割り当て、管理者は責任者だけにする
- 画像:スマートフォンで撮った写真はサイズが大きいため、アップロード前に縮小するか画像圧縮の仕組みを入れる。代替テキストに物件の内容を書く
- 更新:本体・テーマ・プラグインの更新前にバックアップを取り、フィールドプラグインの更新後は物件ページの表示を確認する
- バックアップ:データベースと画像を毎日自動で保存し、サーバー外にも置く
公開前チェックリスト
- 物件のカスタム投稿タイプとタクソノミーが登録され、個別ページと一覧ページが開く
- 物件の入力項目が社内ルール(単位・表記)に沿ってそろっている
- 絞り込みや検索で、意図した物件が表示される
- 問い合わせフォームのテスト送信が担当者に届き、物件名が分かる
- 広告表示のルールについて専門家の確認を受けた
- 成約済み物件の扱いの手順が決まっている
- スマートフォンで写真と物件情報が読みやすい
- 「設定 → 表示設定」で、検索エンジンにインデックスさせない設定が外れている
まとめ
- 物件はカスタム投稿タイプで管理し、絞り込み用の分類はタクソノミー、数値はカスタムフィールドに分ける
- 賃料や面積は数値で入れ、単位を統一しておくと後から検索に使える
- 標準検索はカスタムフィールドを対象にしないため、条件検索はプラグインか自作で用意する
- 物件ごとの問い合わせでは、どの物件か分かる仕組みを入れてテスト送信する
- 宅地建物取引業法や公正競争規約の表示ルールは、専門家に確認する
- 成約済み物件の扱いとバックアップの手順を、公開前に決めておく