2026年7月16日
2026年7月16日
WordPressとOracle Eloquaを連携する方法(トラッキングとフォーム埋め込み)
WordPressとOracle Eloqua(OracleのMAツール)を連携させるときの基本は、「Eloquaの訪問者トラッキング用スクリプトを全ページに入れる」ことと「Eloquaで作ったフォームをWordPressのページに埋め込む」ことの2つです。これで、サイト上の閲覧行動とフォーム送信がEloquaのコンタクト情報にまとまり、キャンペーンやスコアリングに使えるようになります。この記事では、それぞれの設置手順、動作確認、既存のWordPressフォームを使う場合の考え方、Cookie同意への配慮を説明します。
連携の全体像
Eloquaとの連携は、次の3つの部品の組み合わせで考えると分かりやすくなります。
- 訪問者トラッキング用スクリプト:訪問者のブラウザにCookieを付け、ページ閲覧をEloquaへ記録する
- Eloquaフォーム:Eloquaで作成したフォームをWordPressに設置し、送信内容をEloquaのコンタクトとして登録する
- 既存フォームや他システムとのデータ連携:WordPressのフォームプラグインやCRMのデータを、APIや連携サービスでEloquaへ送る
多くのサイトでは、トラッキング用スクリプトとフォームの埋め込みだけで運用を始められます。フォーム送信をきっかけに、それまでの匿名の閲覧履歴とコンタクトが結び付き、「問い合わせ前にどのページを見ていたか」を追えるようになります。
WordPress用の連携プラグインを探す方もいますが、Oracleが案内している基本の方法はスクリプトの設置とフォームの埋め込みです。第三者製のプラグインを検討する場合は、提供元と更新状況、どのデータをどこへ送るのかを確かめてから導入してください。
事前に用意するもの
- Eloquaの管理者権限(トラッキングコードの取得、トラッキング対象ドメインの設定に必要)
- 自社のEloquaのサイトID(トラッキングコードやフォームに含まれるインスタンス固有の番号)
- WordPressの管理者権限と、子テーマまたはヘッダーにコードを挿入できるプラグイン
- プライバシーポリシーとCookie同意の運用方針
Eloquaの管理画面は更新で表記や配置が変わることがあります(2026年10月現在)。ここでは「設定(Settings)の中にサイトのトラッキング関連の項目がある」「フォームはアセットの一種として作成する」といった大まかな位置で説明します。正確な手順はOracleのヘルプセンターで最新版を確認してください。
手順1:トラッキング用スクリプトを設置する
Eloquaの設定画面から、サイトに埋め込むトラッキング用のJavaScriptを取得します。スクリプトには自社のサイトIDが入っているので、取得したものをそのまま使います。あわせて、計測するドメインをEloqua側でトラッキング対象として登録しておきます。ここが抜けていると、スクリプトは動いても閲覧履歴が想定どおりに記録されません。
WordPressへの設置方法は次のいずれかです。
- ヘッダー挿入プラグイン:WPCode などで、サイト全体のヘッダー欄に貼り付ける
- 子テーマの functions.php:
wp_headフックで出力する(テーマ更新で消えないよう子テーマで作業する) - Google タグ マネージャー(GTM):カスタムHTMLタグとして全ページで配信する
子テーマを使う場合の例です。functions.php を編集する前にバックアップを取ってください。
<?php
// 子テーマの functions.php に追記する例
add_action( 'wp_head', function () {
// 社内スタッフの閲覧を記録しない
if ( is_user_logged_in() && current_user_can( 'edit_posts' ) ) {
return;
}
?>
<!-- ここに Eloqua の設定画面で取得したトラッキング用スクリプトを貼り付ける -->
<?php
}, 20 );
設置場所は1か所に絞ってください。プラグインとGTMの両方に入っていると、1回の閲覧が重複して記録されます。
動作の確認
- ログアウトした状態(またはシークレットウィンドウ)でサイトを開き、開発者ツールの「ネットワーク」タブで「eloqua」と絞り込んで、スクリプトの読み込みと送信が出ているかを見る
- 開発者ツールのCookie一覧で、Eloqua関連のCookieが付いているかを見る
- テスト用のメールアドレスでフォームを送信し、Eloqua上のそのコンタクトの活動履歴にWebサイト訪問が記録されているかを見る
送信が見えない場合は、ページキャッシュに古いHTMLが残っていないか、キャッシュ系プラグインのJavaScript遅延・結合機能でスクリプトの実行が止まっていないか、広告ブロック系の拡張機能が動いていないかを順に確認します。
手順2:Eloquaフォームを埋め込む
Eloquaでフォームを作成すると、ページに設置するためのHTMLを取得できます。このHTMLをWordPressのページに置けば、送信内容はEloquaへ直接届き、フォームに設定した処理(コンタクトの作成・更新、リストへの追加、通知メールなど)が実行されます。
WordPressでは、ブロックエディターの「カスタムHTML」ブロックに取得したHTMLを貼り付けるのが手軽な方法です。プレビューで表示と送信を確かめてから公開します。
つまずきやすい点は次のとおりです。
- scriptタグが消える:
unfiltered_html権限のないユーザー(単一サイトでは投稿者以下、マルチサイトではスーパー管理者以外)が保存すると、スクリプトを含むHTMLは取り除かれます。権限のあるユーザーで作業するか、子テーマのショートコードで出力します - デザインが崩れる:Eloquaから取得したHTMLには独自のスタイルが含まれていることがあり、テーマのCSSとぶつかります。子テーマのCSSでフォーム部分の見た目を整えます
- 送信後の動作:送信後に表示するページはEloqua側のフォーム設定で指定します。WordPress側にサンクスページを用意してそこへ移動させると、広告やGA4のコンバージョン計測とも合わせやすくなります
- フォームの変更が反映されない:HTMLをコピーして貼り付ける方式では、Eloqua側で項目を追加しても、WordPressに貼ったHTMLは古いままです。フォームを変更したら貼り直す運用にします
手順3:既存のWordPressフォームから送りたい場合
Contact Form 7やGravity Formsなど、使い慣れたフォームを残したい場合は、送信内容をEloquaへ渡す仕組みを別に用意します。
- 外部フォームからの送信を受け付ける方式:Eloquaには、Eloqua以外のフォームから送られたデータをEloquaのフォームで受け取る仕組みがあります。WordPressのフォームの送信先や送信後処理を工夫して、項目名をEloquaのフォームに合わせて渡します
- APIを使う方式:EloquaのAPIでコンタクトを登録・更新する方法です。フォーム送信時にサーバー側で処理する実装になり、認証情報の管理やエラー時の扱いを設計する必要があります
- 連携サービス(iPaaS)を使う方式:フォームプラグインとEloquaの両方に対応した外部サービスを経由させます。コードは不要になりますが、データがどこを経由するかの確認が必要です
独自に送る場合は、トラッキングCookieとコンタクトの結び付けにも注意します。Eloquaのフォームを使えば訪問者の識別情報と送信内容が自動で結び付きますが、外部フォームからの場合は訪問者の識別情報を隠しフィールドなどで一緒に送る設計にしないと、閲覧履歴が匿名のまま残ることがあります。具体的な項目や手順はOracleのドキュメントで確認してください。
API用の認証情報は、テーマのファイルや公開ディレクトリに置かず、wp-config.php や環境変数など公開されない場所で管理します。
プライバシーとCookie同意
Eloquaのトラッキングは、Cookieを使って閲覧情報を外部へ送る仕組みです。導入時には、一般的な対応として次の点を検討してください。
- プライバシーポリシーに、MAツールで閲覧情報やフォーム入力内容を扱うこと、その目的を追記する
- 日本の電気通信事業法の外部送信規律(2023年施行)への対応として、送信先や目的の公表が必要かを確認する
- EU圏などの訪問者がいる場合は、Cookie同意を得るまでトラッキングを動かさない設計を検討する。Eloqua側にも訪問者のトラッキング同意に関する設定があるため、サイトのCookie同意バナーとどちらで制御するかを決めておく
- メール配信を行う場合は、フォームに配信同意(オプトイン)の項目を設け、Eloquaのコンタクトの購読状態と合わせる
必要な対応の範囲は対象地域や業種によって異なります。判断に迷う場合は専門家に相談してください。
まとめ
- 連携の基本は、Eloquaのトラッキング用スクリプトの全ページ設置と、Eloquaフォームの埋め込み
- トラッキング対象ドメインをEloqua側でも登録し、スクリプトは1か所だけに設置する
- 確認はログアウト状態で、開発者ツールとEloquaのコンタクト活動履歴の両方で行う
- 既存フォームを使う場合は、外部フォーム受け付け・API・連携サービスのいずれかで送り、訪問者の識別情報との結び付けを設計する
- プライバシーポリシーの更新、Cookie同意との連動、メール配信のオプトインをあわせて整える