2026年7月6日
2026年7月6日
WordPressとMarketo(Adobe Marketo Engage)を連携する方法
WordPressとMarketo(現在の製品名はAdobe Marketo Engage)をつなぐ基本は、「Munchkin(Marketoのトラッキングコード)を全ページに入れる」ことと「Marketoのフォームを埋め込みコードでWordPressのページに置く」ことの2つです。この2つがそろうと、どの訪問者がどのページを見て、どのフォームから問い合わせたかがMarketoのリード情報として記録されるようになります。この記事では、それぞれの設置手順と確認方法、既存のWordPressフォームを使い続けたい場合の考え方、つまずきやすい点を説明します。
連携の全体像
WordPressとMarketoの連携は、役割の違う3つの部品で考えると整理できます。
- トラッキングコード(Munchkin):訪問者のブラウザにCookieを付け、ページ閲覧をMarketoへ記録する
- Marketoフォーム:Marketo側で作ったフォームをWordPressのページに埋め込み、送信内容をMarketoのリードとして直接登録する
- 既存フォームやシステムとのデータ連携:WordPressのフォームプラグインやCRMの内容を、APIや連携サービス経由でMarketoへ送る
最初のうちは、Munchkinとフォーム埋め込みの2つで十分なことがほとんどです。フォームを送信した時点で、それまで匿名だった閲覧履歴がそのリードに結び付くため、「問い合わせ前にどのページを見ていたか」まで追えるようになります。
なお、MarketoのWordPress向けプラグインを探す方もいますが、Adobe公式の連携手段として案内されているのはトラッキングコードとフォーム埋め込みが中心です。第三者製のプラグインを使う場合は、提供元と更新状況を確かめてから判断してください。
事前に確認しておくこと
- Marketoの管理者権限(トラッキングコードの取得や設定に必要)
- WordPressの管理者権限と、子テーマまたはヘッダーにコードを挿入できるプラグイン
- 計測対象のドメイン(サブドメインを含めて計測するか)
- プライバシーポリシーとCookie同意の運用方針
Marketoの画面構成は更新で変わることがあります(2026年10月現在)。ここでは「管理(Admin)の連携関連メニューにMunchkinの項目がある」「フォームはマーケティング活動やデザインスタジオの中で作る」といった大まかな位置で説明します。
手順1:Munchkinトラッキングコードを設置する
Marketoの管理画面で、Munchkinのトラッキングコードを確認します。コードにはインスタンス固有のID(Munchkin ID)が含まれており、コピーしたコードをそのまま使えば自分のインスタンスに記録されます。
WordPressへの設置方法は次のどちらかです。
- ヘッダー挿入プラグインを使う:WPCode などのプラグインで、サイト全体のヘッダー(またはフッター)欄に貼り付ける
- 子テーマの functions.php から出力する:テーマ更新で消えないよう、子テーマで
wp_headフックを使う
子テーマに書く場合の例です。編集前に functions.php のバックアップを取ってください。
<?php
// 子テーマの functions.php に追記する例
add_action( 'wp_head', function () {
// 管理画面での作業中の閲覧を記録しない
if ( is_user_logged_in() && current_user_can( 'edit_posts' ) ) {
return;
}
?>
<!-- ここに Marketo の管理画面でコピーした Munchkin トラッキングコードを貼り付ける -->
<?php
}, 20 );
編集者以上でログイン中の閲覧を除外しているのは、社内スタッフのアクセスがリードの行動履歴に混ざるのを防ぐためです。動作確認はログアウトした状態で行います。
すでにGoogle タグ マネージャー(GTM)を使っているなら、カスタムHTMLタグとして全ページで配信する方法もあります。いずれの方法でも、設置場所は1か所に絞ります。複数の場所に入っていると、閲覧が重複して記録される原因になります。
Munchkinが動いているかの確認
- ログアウト状態でサイトを開き、ブラウザの開発者ツールの「ネットワーク」タブで「munchkin」と絞り込んで、スクリプトの読み込みと送信が出ているかを見る
- 開発者ツールのCookie一覧に、Marketoのトラッキング用Cookie(
_mkto_trk)が付いているかを見る - 自分でテスト用のフォーム送信をしたあと、Marketoでそのテストリードの活動履歴にページ閲覧が並んでいるかを見る
手順2:Marketoフォームを埋め込む
Marketoでフォームを作成して承認(公開)すると、フォームの操作メニューから埋め込みコードを取得できます。このコードは、Marketoのフォーム用スクリプトを読み込み、指定した場所にフォームを描画する一式です。
WordPressの固定ページや投稿に置くには、ブロックエディターの「カスタムHTML」ブロックを使い、埋め込みコードをそのまま貼り付けます。プレビューでフォームが表示されることを確認してから公開してください。
埋め込みでつまずきやすい点は次のとおりです。
- フォームが表示されない:キャッシュ系プラグインの「JavaScriptの遅延・結合」機能で、Marketoのスクリプトの実行順が崩れていることがあります。該当スクリプトを最適化の対象から外すと直るケースが多くあります
- デザインが崩れる:Marketoフォームは独自のCSSを持っており、テーマのCSSとぶつかります。Marketo側のフォームのテーマ設定を見直すか、子テーマのCSSで調整します
- scriptタグが消える:
unfiltered_html権限を持たないユーザー(単一サイトでは投稿者以下、マルチサイトではスーパー管理者以外)が保存すると、scriptタグを含むHTMLは取り除かれます。権限のあるユーザーで作業するか、子テーマのショートコードなどで出力する方法を検討します - 送信後の動作:お礼メッセージの表示やサンクスページへの移動は、Marketo側のフォーム設定で指定します。サンクスページへ移動する構成にしておくと、広告やGA4のコンバージョン計測とも合わせやすくなります
手順3:既存のWordPressフォームを使い続けたい場合
Contact Form 7やGravity Formsなど、すでに運用しているフォームをそのまま使いたい場合は、送信内容をMarketoへ送る仕組みが別途必要になります。代表的な方法は次の3つです。
- MarketoのAPIを使う:Marketoには外部システムからリードを登録・更新するためのREST APIがあります。フォーム送信時にサーバー側でAPIを呼び出す実装になり、認証情報の管理やエラー時の再送などを設計する必要があります。開発者がいる体制向けです
- 連携サービス(iPaaS)を使う:フォームプラグインとMarketoの両方に対応した外部の連携サービスを経由させる方法です。コードを書かずに済む一方、サービスの利用条件やデータの経由先を確認する必要があります
- フォームをMarketoに置き換える:長期的に見ると、フォームをMarketoフォームに統一するほうが運用が単純になることも多くあります
既存フォームからAPIで送る場合、Munchkinの閲覧履歴とリードを結び付ける処理を別に考える必要がある点に注意してください。Marketoフォームを使う場合はこの結び付けが自動で行われますが、独自に送る場合は同じ仕組みを自前で用意しないと、閲覧履歴が匿名のまま残ります。
APIの認証情報(クライアントIDやシークレット)は、テーマのファイルやデータベースの公開される場所に平文で置かず、wp-config.php や環境変数など公開されない場所で管理してください。
プライバシーとCookie同意
Munchkinは訪問者のブラウザにCookieを付け、閲覧情報をMarketoへ送ります。導入時は次の点を一般的な対応として検討してください。
- プライバシーポリシーに、マーケティングオートメーションツールで閲覧情報やフォーム入力内容を扱うことを追記する
- 日本の電気通信事業法の外部送信規律(2023年施行)への対応として、送信先や目的の公表が必要かを確認する
- EU圏などの訪問者がいる場合は、Cookie同意バナーで同意を得るまでMunchkinを読み込まない設計を検討する
- メール配信に使うリードは、フォームに配信への同意(オプトイン)を明示する項目を設ける
Cookie同意管理のプラグインやサービスと組み合わせる場合は、Munchkinを「マーケティング」などの区分に登録し、同意後にだけ読み込まれるかを実際に確かめてください。必要な対応の範囲はサイトの対象地域や業種によって変わるため、判断に迷う場合は専門家に相談してください。
まとめ
- 連携の基本は、Munchkinトラッキングコードの全ページ設置と、Marketoフォームの埋め込みの2つ
- Munchkinはヘッダー挿入プラグイン、子テーマの
wp_head、GTMのいずれか1か所で設置する - フォームが出ない・崩れるときは、JavaScript最適化の除外設定とCSSの衝突を確認する
- 既存のWordPressフォームを使う場合は、APIや連携サービスでの送信と、閲覧履歴との結び付けを設計する
- プライバシーポリシーの更新、Cookie同意との連動、メール配信のオプトインをあわせて整える