2026年7月20日
2026年7月20日
WordPressでNPO・非営利団体のサイトを構築する方法|寄付受付から運用まで
NPOや非営利団体のサイトは、活動を知ってもらうだけでなく、寄付・会員登録・ボランティア参加といった「支援の行動」につなげる役割を持ちます。WordPressなら、団体紹介と活動報告を整え、寄付フォームや申し込みフォームを組み込んだサイトを、少人数のスタッフでも更新できる形で作れます。この記事では、ページ構成の決め方、テーマ選び、寄付や申し込みの実現方法、個人情報の扱い、運用と公開前チェックまでを順に解説します。
サイトの役割を整理する
最初に、サイトで達成したいことに優先順位を付けます。多くの団体では次のような目的が挙がります。
- 活動内容と成果を伝え、団体を信頼してもらう
- 寄付や会費による支援を集める
- ボランティアやイベント参加者を募る
- 支援者や関係者に活動を報告する
トップページで最も目立たせる要素(寄付ボタン、活動報告、ボランティア募集など)は、この優先順位で決めます。あわせて、サイトを更新する担当者が誰で、月に何回くらい更新できそうかも確認しておきます。更新できる頻度に合わない構成を作ると、古い情報が残りやすくなるためです。
情報設計:固定ページと活動報告
固定ページで作るもの
内容があまり変わらない情報は固定ページで作ります。
- 団体について:理念、設立の経緯、代表のあいさつ、役員・スタッフ紹介
- 活動内容:事業ごとの紹介ページ
- 支援する:寄付、会員・サポーター、ボランティアの案内をまとめたページ
- 情報公開:事業報告書や会計報告などの資料
- お問い合わせ
- プライバシーポリシー
支援を検討している人は、寄付する前に「どんな団体か」「お金がどう使われているか」を確認します。団体概要と情報公開のページを充実させることは、そのまま信頼につながります。法人格によって公開が求められる書類が異なるため、何を掲載するかは所轄庁の案内や専門家に確認してください。
活動報告は投稿とカテゴリーで管理する
日々の活動報告やお知らせは通常の「投稿」を使います。カテゴリーを事業ごと(「子ども支援」「環境保全」など)や種類ごと(「活動報告」「イベント」「お知らせ」)に分けると、事業紹介ページにその事業の最新報告だけを並べられます。
活動報告は、写真と短い文章で「誰のために何をして、どうなったか」を伝えるのが基本です。参加者や支援先の方が写る写真は、掲載の同意を取ってから使います。
イベントやボランティア募集
イベントが多い団体は、イベント管理のプラグイン(The Events Calendar など)を使うと、開催日順の一覧やカレンダーを表示できます。数が少なければ、投稿に「イベント」カテゴリーを作るだけでも運用できます。
テーマの選び方
テーマはブロックテーマとクラシックテーマのどちらでも構築できます。ブロックテーマは「外観 → エディター」からヘッダーやトップページを編集でき、ブロックパターンを使って寄付の案内や活動の数字を並べるセクションを短時間で作れます。担当者が入れ替わっても、コードを触らずに更新を続けやすい点も利点です。
選ぶときは次の点を確認します。
- 写真を大きく見せるレイアウトが作りやすいか
- 文字のコントラストやサイズなど、アクセシビリティに配慮されているか
- スマートフォンで寄付ボタンや申し込みボタンが押しやすいか
- 開発元が継続して更新しているか
寄付の受付を実現する
寄付プラグインを使う方法
WordPress上で寄付を受け付けたい場合は、寄付専用のプラグインを使います。代表的なものに GiveWP があり、寄付フォームの作成、目標額に対する進捗の表示、寄付者情報の管理などができます(2026年10月現在)。決済はStripeやPayPalなどの決済サービスと連携して行う仕組みで、使える決済方法や継続寄付(毎月の寄付)の可否は、プラグインのプランや連携する決済サービスによって異なります。導入前に公式サイトで対応状況を確認してください。
導入するときの流れは次のとおりです。
- 決済サービスのアカウントを団体名義で用意する
- プラグインの設定画面で決済サービスと接続する
- テストモードで寄付フォームを作り、決済から完了画面、お礼メールまでの流れを試す
- 本番モードに切り替え、少額で実際の決済を確認する
カード番号などの決済情報は、決済サービス側で処理される仕組みを選び、自分のサーバーに保存しない構成にします。サイト全体のHTTPS化も前提になります。
外部の寄付サービスを使う方法
寄付の受付や決済の管理を自分たちで行う負担が大きい場合は、外部の寄付受付サービスやクラウドファンディングを使い、サイトからリンクや埋め込みで案内する方法もあります。サイトの管理範囲が小さくなり、決済周りのセキュリティ対応を外部に任せられる点が利点です。どちらの方法でも、寄付ボタンから寄付完了までの手順が少なく、迷わないことを重視します。
寄付の領収書や税制について
寄付金の受領証明書の発行や、寄付者が受けられる税制上の扱いは、団体の法人格や認定の有無によって異なります。サイト上の説明文を書く前に、税理士や所轄庁などの専門家に確認してください。この記事は税務や法律の助言ではありません。
個人情報の扱い
寄付者、会員、ボランティア応募者の氏名・住所・連絡先を扱うため、個人情報の管理はサイト構築と同じくらい重要です。
- プライバシーポリシー:「設定 → プライバシー」でプライバシーポリシーのページを指定できます。何の情報を、何の目的で取得し、どう管理するかを記載します。内容は個人情報保護法などの法令に沿う必要があるため、専門家の確認を受けると安心です
- アクセスできる人を絞る:寄付者情報やフォームの送信内容を見られる管理画面のアカウントは、担当者だけに限定する
- 保管期間を決める:フォームの送信履歴をサイト内に保存するプラグインの場合、不要になったデータを定期的に整理する
- メール配信:活動報告のメールを送る場合は、受け取りに同意した人だけに送り、配信停止の方法を示す
運用:少人数でも続けられる仕組み
非営利団体ではスタッフやボランティアの入れ替わりが多いため、引き継ぎを前提にした運用にします。
- アカウント管理:更新担当者ごとにユーザーを作り、権限グループは編集者や投稿者にする。管理者は代表者など少数に限る。辞めた人のアカウントは速やかに削除するか権限を外す
- 契約の名義:ドメイン・サーバー・決済サービスの契約は、個人ではなく団体名義のアカウントで管理し、ログイン情報の保管場所を決めておく
- バックアップ:データベースとアップロード画像を定期的に自動保存し、サーバー外にも置く
- 更新:本体・テーマ・プラグインの更新前にバックアップを取る。寄付プラグインの更新後は、テストモードで寄付の流れを確認する
- 表示速度:写真はアップロード前に縮小し、キャッシュの仕組みを使う
管理画面の操作手順、更新の担当と頻度、緊急時の連絡先を1枚の資料にまとめておくと、担当者が変わっても運用が止まりにくくなります。
公開前チェックリスト
- 団体概要・活動内容・支援の案内・情報公開・お問い合わせ・プライバシーポリシーがそろっている
- トップページから寄付やボランティア申し込みまでの導線が分かりやすい
- 寄付フォームをテストモードで試し、決済・完了画面・お礼メールを確認した
- 本番モードで少額の決済を確認した
- フォームの送信内容が担当者に届き、自動返信が申込者に届く
- 写真の掲載同意を確認した
- ドメインや決済サービスが団体名義で管理されている
- スマートフォンで全ページと寄付の流れを確認した
- 「設定 → 表示設定」で、検索エンジンにインデックスさせない設定が外れている
まとめ
- サイトの目的に優先順位を付け、寄付やボランティアなど支援の行動への導線を目立たせる
- 団体概要と情報公開のページを充実させ、活動報告は投稿とカテゴリーで続ける
- 寄付は寄付プラグインか外部サービスで受け付け、テストモードで流れを確認してから公開する
- 決済情報は自分のサーバーに保存せず、個人情報の管理ルールとプライバシーポリシーを整える
- 税制や法令に関わる説明は専門家に確認し、契約やアカウントは団体名義で管理する