2026年6月26日
2026年6月26日
WordPressサイトリニューアル時のSEO引き継ぎチェックリスト(事前準備から公開後の監視まで)
サイトリニューアルで検索流入を落とさないための要点は、「旧サイトの状態を記録しておく」「URLが変わるページはすべて1対1で301リダイレクトする」「公開直後に検索エンジン向けの設定を確認する」「公開後しばらく監視する」の4つです。この記事では、これを事前準備・制作中・公開当日・公開後の4段階のチェックリストにまとめ、WordPress 特有のつまずきやすい点(検索エンジンへの表示設定、ステージングのURLの混入など)と確認方法を説明します。リニューアル後は一時的に順位が変動することがあり、引き継ぎを丁寧に行っても順位の維持が保証されるわけではない点は前提にしてください。
事前準備:旧サイトの状態を記録する
リニューアル後に問題が起きたとき、比較する基準がないと原因を特定できません。作業に入る前に、次の情報を記録しておきます。
- 全URLの一覧:XMLサイトマップ、クローラーツール(Screaming Frog SEO Spider など。無料版にはクロールできるURL数の上限があります)、Search Console の検索パフォーマンスのページ一覧を組み合わせて、公開中のURLを漏れなく集める。サイトマップに載っていないURL(カテゴリーページ、ページ送り、画像やPDFのURL)も対象にする
- 流入の多いページ:Search Console と Google アナリティクスで、検索流入・表示回数の多いページを特定する。これらは移行で優先して確認するページになる
- 被リンクを受けているページ:Search Console の「リンク」レポートで、外部からリンクされているページを確認する。被リンクのあるURLを404にすると、そのリンクの価値を失う
- ページごとのSEO要素:title、メタディスクリプション、h1、canonical、robots メタタグ、構造化データ、hreflang(多言語サイトの場合)をクローラーツールで書き出す
- 計測の基準値:主要ページの表示速度や Core Web Vitals、主要キーワードの掲載順位、月ごとの検索流入を記録する
あわせて、旧サイトのファイルとデータベースのバックアップを取り、リニューアル後もしばらくは保管しておきます。
制作中:URLの対応表とステージング環境
- URLの対応表を作る:旧URLと新URLを1行ずつ対応させた表を作る。内容が同じページはURLを変えないのが最も安全で、変える場合は内容が対応するページへ転送する。関連の薄いページやトップページへまとめて転送すると、Google はソフト404として扱うことがある
- 削除するページを決める:役目を終えたページは、近い内容のページがあればそこへ転送し、なければ 404 または 410 を返す。内容に対応先がないのに無理に転送しない
- コンテンツを引き継ぐ:流入の多いページの本文・見出し・画像の代替テキストを、デザイン変更のついでに大きく削らない。削る場合は、そのページが答えていた検索意図に引き続き答えられるかを確認する
- ステージング環境を検索エンジンから隠す:ステージングにはベーシック認証などのアクセス制限をかける。WordPress の「検索エンジンがサイトをインデックスしないようにする」設定だけでは、検索エンジンへの「お願い」にとどまり、アクセス自体は防げない
- 内部リンクを新URLに直す:本文やメニューのリンクがリダイレクトを経由しないよう、新URLへ書き換える
WordPress 同士の移行でドメインが変わる場合は、データベース内のURLを置換します。WP-CLI の wp search-replace は、シリアライズされたデータも正しく扱えます。実行前にバックアップを取り、--dry-run で件数を確認してから本番の置換を行ってください。
# 置換される件数だけを確認(データは変更しない)
wp search-replace 'https://old.example.com' 'https://www.example.com' --all-tables-with-prefix --dry-run
# 件数を確認してから実行
wp search-replace 'https://old.example.com' 'https://www.example.com' --all-tables-with-prefix
公開当日:検索エンジン向けの設定を確認する
公開当日に最も多い失敗は、ステージングの設定がそのまま本番に持ち込まれることです。次の項目を、公開直後に確認します。
- 検索エンジンへの表示設定:「設定 → 表示設定」の「検索エンジンがサイトをインデックスしないようにする」のチェックが外れているか。WP-CLI なら
wp option get blog_publicの結果が1であれば表示を許可している状態(0なら検索エンジンに表示しない設定) - robots.txt:
https://www.example.com/robots.txtを開き、Disallow: /のような全体をブロックする記述が残っていないか - canonical と URL:ページのソースで canonical、OGP、構造化データのURLがステージングのドメインになっていないか
- リダイレクト:対応表のすべての旧URLが、新URLへ301で1回だけ転送されるか(下のスクリプトで確認)
- XMLサイトマップ:新しいサイトマップが表示され、新URLだけが載っているか。Search Console に送信する
- 計測タグと所有権の確認:Google アナリティクスなどの計測タグが入っているか。Search Console の所有権確認に HTML タグやファイルを使っていた場合、新しいテーマでも残っているか
- HTTPS と表記の統一:http から https、www の有無が、どちらか一方へ301で統一されているか
リダイレクトの確認は、対応表を「旧URL,新URL」の2列の CSV(見出し行なし)にして、次のスクリプトで一括チェックできます。表計算ソフトから書き出した CSV は改行コードが CRLF になることがあるため、末尾の \r を取り除いています。
#!/usr/bin/env bash
# 使い方: bash check_redirects.sh map.csv
while IFS=, read -r old new; do
old=${old%$'\r'}
new=${new%$'\r'}
[ -z "$old" ] && continue
code=$(curl -s -o /dev/null -w '%{http_code}' "$old")
loc=$(curl -s -o /dev/null -w '%{redirect_url}' "$old")
if [ "$code" != "301" ] || [ "$loc" != "$new" ]; then
echo "NG: $old -> $code $loc (期待値: $new)"
fi
done < "$1"
echo "チェック終了"
転送先がさらに転送される「リダイレクトチェーン」になっていないかは、curl -sIL 旧URL で途中の応答をすべて表示して確認できます。転送の段数が多いと読み込みが遅くなり、クロールの効率も下がるため、旧URLから最終的なURLへ直接転送するよう対応表を直します。
リダイレクトは、Web サーバーの設定(Apache の .htaccess や Nginx の設定ファイル)で書く方法と、Redirection などのプラグインで管理する方法があります。件数が多い場合は、プラグインの CSV 取り込み機能を使うと管理画面から一覧で確認できます。取り込み形式や画面の表記はバージョンによって異なります(2026年10月現在)。
ドメインが変わる場合の追加作業
ドメインを変更する場合は、上の作業に加えて次の対応が必要です。
- 新しいドメインを Search Console に登録し、所有権を確認する
- 旧ドメインのプロパティで「アドレス変更」ツールを使い、移転を Google に伝える(旧ドメインから新ドメインへの301リダイレクトが設定済みであることが前提)
- 旧ドメインの契約を切らない。リダイレクトを維持するために、旧ドメインとサーバー側の転送設定を残しておく
Google は、サイト移転時のリダイレクトを少なくとも1年は維持するよう案内しています。被リンクや外部サイトからの流入は長く残るため、可能であればさらに長く維持すると安心です。
公開後:数週間から数か月の監視
公開後は、検索エンジンが新しいURLを処理し終えるまで時間がかかります。次の項目を定期的に確認します。
- ページのインデックス登録レポート:「見つかりませんでした(404)」や「noindex タグによって除外されました」が急に増えていないか。増えていれば、対応表の漏れや設定の持ち込みを疑う
- 検索パフォーマンス:事前に記録した流入の多いページについて、旧URLから新URLへ表示回数が移っているか
- クロールの統計情報:サーバーエラー(5xx)が増えていないか
- 404のログ:サーバーのアクセスログやリダイレクト用プラグインの404記録から、対応表に入っていなかった旧URLを見つけて追加する
- 表示速度:事前の基準値と比べて悪化していないか
移行直後の数週間は順位や流入が揺れることがあります。短期間の変動だけで設定を何度も変えると原因が分からなくなるため、事前に記録した基準値と比べて、明らかに下がっているページから順に原因を調べてください。
まとめ
- 事前に全URL、流入・被リンクの多いページ、ページごとのSEO要素、計測の基準値を記録し、バックアップを取る
- 旧URLと新URLを1対1で対応させ、内容が対応するページへ301で転送する。対応先がないページは無理に転送しない
- ステージングはアクセス制限で隠し、公開当日は検索エンジンへの表示設定、robots.txt、canonical、リダイレクト、サイトマップを確認する
- ドメイン変更ではアドレス変更ツールを使い、リダイレクトは少なくとも1年は維持する
- 公開後は Search Console のレポートと404のログを監視し、基準値と比べて原因を順に調べる